縦型動画マーケティングを始めるときは、最初に投稿本数を決めるのではなく、「誰に、何を理解してもらい、その後どうしてほしいか」を決めます。縦長の画面にするだけで、広告の成果が上がるわけではありません。

この記事では、企業担当者が目的を整理し、動画の形式と投稿先を選び、公開後の結果から直す箇所を決める手順を提案します。ショートドラマ、商品の実演、社員のインタビューには、それぞれ使いやすい場面があります。

目的から、動画の形式と移動先を選ぶ

関係を整理 伝える内容から、形式を選ぶ 伝えたいこと 検討する形式 使い方・形 実演・解説 人の考え インタビュー 使う状況 ショートドラマ
形式を選ぶための例。同じ商品でも、答える問いで選択は変わります。

商品の形や使い方が分からない人には、実物を動かす動画が判断材料になります。サービスを使う場面が想像しづらい人には、困りごとと解決の流れを描くドラマも選択肢です。働く人を知ってほしい採用広報なら、社員の言葉や実際の作業を見せる方法があります。

ここで大切なのは、動画を見た後の移動先を用意することです。商品ページへ送るなら、動画に出た商品がすぐ見つかるかを確認します。問い合わせを促すなら、料金や対象者が分からないままフォームだけが出ないようにします。

当社が本記事のために作成した架空の検討例として、調理器具を扱う会社を考えます。「洗う手間が気になる」という質問が多ければ、実演で分解と洗浄を見せます。一方、「どんな生活で役立つか」を伝えたいなら、仕事から帰った人の夕食準備を物語にできます。同じ商品でも、答える問いによって形式が変わります。

検討する形式見せやすいもの確認したい弱点
実演・解説操作、形、使い方初見でも違いが分かるか
インタビュー人の考え、経験、背景内輪の言葉が続いていないか
ショートドラマ使う状況、迷い、関係の変化商品や企業の意味が残るか

形式ごとの比較はショートドラマとショート動画の違いでも整理しています。ドラマが常に最も効果的だと決めず、伝える内容に合わせて選びます。

2026年の公式事例は、制作方法と販売導線を分けて読む

TikTokは2026年7月28日、日本のTikTok Shop開始1周年の発表で、Gapの販売員が接客やスタイリングの知識をショート動画へ転換した取り組みを紹介しました。TikTok Shopは日本では2025年6月30日に提供開始されています(TikTokの公式発表)。

この事例から企画の参考にできるのは、現場にある知識を動画の題材にする考え方です。たとえば、店頭や問い合わせ窓口で繰り返し聞かれる質問を集めると、説明が必要な箇所を探せます。発表にある売上の伸びを、他社でも再現する倍率や、ドラマ形式の効果とは扱いません。

縦型動画を商品販売に使うなら、制作担当だけでは完結しません。商品情報、在庫、購入後の問い合わせ先も揃える必要があります。動画が届いても、購入できない、条件が分からないという状態なら、導線の見直しを優先します。運用の考え方はショート動画とTikTok Shopで詳しく扱っています。

投稿先は、顧客と使える機能から選ぶ

TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsを、年齢層のイメージだけで決めるのは避けます。すでに自社の顧客が集まっているアカウント、説明を届けたい相手、動画から移動してもらう場所を確認します。最初から全媒体を同じ本数で運用する必要はありません。

既存アカウントがあれば、どの投稿から商品やサービスの質問が来ているかを見ます。反応した人が対象顧客と違う場合は、再生数だけで投稿先を評価しません。広告を利用するなら、通常投稿と広告配信の数字は区別して記録します。

尺と字幕位置は、投稿時点の仕様で確認する

YouTubeは、通常のチャンネルでは2024年10月15日以降に投稿された正方形または縦向きで3分以内の動画をショートと分類します。以前の「60秒以内」という仕様を前提に企画を切り詰めないようにします(YouTube公式ヘルプ)。

TikTokの広告向けセーフゾーンは、映像比率やキャプションなどによって変わります。公式の広告仕様と実際のプレビューを確認し、人物の顔、商品、字幕が操作ボタンの下へ隠れないようにします。広告の仕様を、通常投稿の全条件として読み替えないことも必要です。

Instagramを含め、投稿できる尺や利用できる機能はアカウントや配信方法によって確認が必要です。共通の映像素材を作っても、字幕位置、音源、リンクの案内は投稿先ごとに点検します。編集の具体的な確認方法はカット・字幕・音の調整をご覧ください。

一本の中で、視聴者の疑問を一つ解く

動画の冒頭では、何を見ると何が分かるのかを示します。調理器具なら、完成した料理だけでなく「洗う部品はどれか」を先に見せる方法があります。ドラマなら、登場人物の困りごとや対立が初見で分かるかを確認します。

その後の映像は、冒頭の問いに必要なものを残します。根拠のない数字で驚かせたり、商品と関係のない刺激的な展開で引っ張ったりすると、再生されても理解につながらない場合があります。終わりには、商品詳細を見る、関連する解説を見るなど、内容に合った次の行動を案内します。

字幕は、音を出せない状況でも内容を追えるようにする手段です。すべての視聴者が無音だと仮定したり、全セリフを大きく表示したりするのではなく、顔や実物を見る場所を残しながら読める量に調整します。

音源と広告表示を、制作の条件に含める

人気の楽曲でも、企業の宣伝で使えるとは限りません。TikTokは商用向け音楽ライブラリを案内し、それ以外の音源では必要な権利の確認を求めています。他媒体への転載も含め、利用条件を確かめます(TikTokの商用音楽の説明)。

企業から依頼した投稿などでは、広告であることを消費者が判断できる表示も確認します。自然な物語にすることを、広告だと分からなくする目的と混同しないようにします。判断の前提は消費者庁の案内を参照してください。

効果測定は、届いた後の行動までつなげる

「再生された」「内容を見てもらえた」「商品ページに移動した」「問い合わせや購入があった」は別々の出来事です。目的に近い指標を決め、途中のどこで止まっているかを確認します。

流れをつかむ 止まった場所から、原因を探す 1 届く 対象者に表示されたか 2 理解する 必要な場面が見られたか 3 次へ進む 移動先で困っていないか
再生回数だけで成果を決めず、目的に近い行動と途中のつまずきを確認します。

たとえば、商品ページへの移動はあるのに購入が少ない場合、動画だけでなく価格、送料、在庫、ページでの説明も調べる必要があります。動画の冒頭を変えるだけでは、その問題を解決できないことがあります。

YouTubeショートでは、表示に対して視聴を選んだ割合などを確認できます。指標の意味はYouTube Studioの公式説明と照合します。サービスごとに再生の定義が違う場合があるため、同じ名前の数字を無条件に横並びにしません。

比較では、期間、配信費、対象者、動画の尺を記録します。改善版で字幕、構成、音楽を一度に変えると、何が影響したかを判断しにくくなります。まずは「商品名が読めるか」など、確認する仮説を絞って変更します。少数の再生や問い合わせだけで、効果の有無を確定しないようにします。

投稿頻度と外注範囲は、確認できる体制で決める

投稿本数を増やす前に、台本を確認する人、商品表現を承認する人、結果を見る人を決めます。修正や権利確認が追い付かないまま本数だけを増やすと、同じ問題を繰り返す原因になります。

内製か外注かも、動画の長さだけでは決まりません。社内で商品知識をまとめ、外部へ脚本と撮影を依頼するなど、工程を分ける方法があります。外注費を比較するときは、企画、出演者、撮影、字幕、修正、広告転用の権利、投稿後の分析が含まれるかを揃えます。

制作会社への相談には、当社の検討例で示したような「顧客の質問」「伝えたい答え」「移動先」を用意してください。予算や納期と合わせると、必要な制作物を話しやすくなります。費用の見方や運用代行の委託範囲も判断に使えます。

ナイトてんしょんのショートドラマ制作サービスでは、企画や制作に関する相談を受け付けています。形式や本数を先に固定せず、伝えたい内容と確認体制から検討してください。