ショートドラマの見積もりを比べるときは、届いた見積書をそのまま並べず、同じ費目の行に書き写してから金額を見ます。A社は「制作費一式」、B社は「企画・撮影・編集」の3行、C社は1本あたりの単価だけ、というように書き方がそろわないからです。合計額だけを比べると、含まれていない工程を発注後に足すことになり、安かったはずの案が高くつくことがあります。

この記事では、3社から見積もりが届いた段階で使う比較表の作り方を説明します。費目ごとの内訳の意味は制作費の内訳、依頼先の選び方は制作会社の選び方と契約前チェックで扱っています。ここで扱うのは、手元の見積書を同じ物差しにそろえる作業です。

比較の前に、依頼条件を1行で書いておく

比較表の一番上には各社に伝えた依頼条件を書きます。本数、1本の尺、公開先、使う期間、納品希望日の5つです。見積もりの差が会社の価格の差なのか、伝わった条件の違いなのかを見分けるための行です。

たとえば「縦型3本・各60秒前後・TikTokとInstagramのオーガニック投稿・公開後1年・11月末公開」と書きます。ある会社が「2本から」で見積もっていたり、広告配信まで含めて出していたりすれば、この行と照らした時点で気づけます。条件のずれが見つかったら、金額を比べる前にその会社へ同じ条件で出し直してもらいます。

当社の場合、公開料金はPOV 4万円/本〜・3本以上、ライト 5万円/本〜・3本以上、本格 15万円/本〜・2本以上です。最低本数で計算すると、それぞれ12万円〜・15万円〜・30万円〜になります。キャスト費・スタジオ費込みで、制作開始後の追加費用はありません。制作の流れの目安はご依頼から配信まで約1ヶ月です。この記事では自社の見積もりも他社と同じ表に入れて比べる前提で説明します。

比較表は費目を縦、会社を横に並べる

表の行には費目を、列には会社を並べます。行の順番は、制作が進む順にそろえると、どの工程が抜けているかを見つけやすくなります。

費目(行)見積書での書かれ方の例表に書き写すときの決まり
企画・脚本「構成案作成」「台本」本数と修正回数も書く
出演者「キャスト費」「出演料」人数と使える期間も書く
撮影「撮影費」「スタジオ費」撮影日数と場所の数も書く
編集・字幕「編集費」「テロップ」修正回数と字幕の有無も書く
音楽「BGM」「音源費」誰が手配し、どこで使えるか
進行・管理「ディレクション費」「諸経費」何の作業かを聞いて書く
配信・投稿「投稿代行」「運用費」単発か月額かを分けて書く

会社の数だけ列を足し、各セルには金額と一緒に「含む」「別途」「対象外」「記載なし」のどれかを書きます。表計算ソフトで作る場合は、この4種類を選択肢にしておくと、書き方の揺れがなくなります。

「一式」は工程ごとに分けてもらう

「制作費一式 30万円」のような見積もりは、そのままでは表のどの行にも入れられません。一式の金額を各行に割り振るのは発注側の推測になるので、どの工程が含まれているかを制作会社に聞きます。

聞き方は「一式に含まれる工程を、企画・出演者・撮影・編集・音楽・進行の区分で教えてください」で十分です。金額の内訳まで出せない会社もあります。その場合でも、工程ごとに「含む」「含まない」が分かれば表は埋まります。金額の内訳を出さないこと自体は、悪い見積もりの印ではありません。比べたいのは、同じ範囲の仕事に対する総額だからです。

「別途」と「記載なし」は分けて書く

「別途」は費用が発生すると見積書に書かれている状態です。「記載なし」はその工程について何も書かれていない状態です。この2つを同じ扱いにすると、記載なしの会社が安く見えてしまいます。

記載なしの行は含まれているのか対象外なのかを確認するまで空欄の色を変えておきます。たとえば音楽の行が記載なしなら、「BGMの選曲と利用条件の確認は御社の範囲に含まれますか」と聞きます。答えが返るまで、その会社の合計額は「確定していない金額」として扱います。

関係を整理 セルには4つの印のどれかを書く 見積書の状態 表での扱い 含む 合計にそのまま入れる 別途 金額を聞いて合計に足す 対象外 自社か他社で手配する 記載なし 確認するまで未確定
記載なしを含むと見なすと、その会社が安く見える。 本記事が提案する書き分け

本数と単価の条件を同じ単位にそろえる

単価で出す会社と総額で出す会社が混ざると、比較が崩れます。1本あたりの単価と、依頼本数での総額を、両方の欄に書きます。

当社の公開料金で計算すると、POVを3本頼む場合は4万円×3本で12万円〜、本格を2本頼む場合は15万円×2本で30万円〜です。ここで仮に「単価4万円・3本からの会社」と「1本10万円で1本から受ける会社」を比べると、1本だけ欲しい場合は総額の差が小さくなります。必要な本数が決まっていれば総額で、まだ決まっていなければ単価と最低本数の両方で比べるのが実務的です。

最低本数が違う見積もりの並べ方

最低本数が違う見積もりは、依頼したい本数に合わせて総額を計算し直します。3本欲しいのに「2本から」の会社の2本分の金額と、「3本から」の会社の3本分の金額を並べても比較になりません。

本数を合わせられない場合は、表の下に「A社は2本、B社は3本で計算」と注記します。1本だけ使う予定なのに最低本数のために3本頼むのであれば、残りの2本をどう使うかも社内で決めておきます。使い道のない本数を頼んで単価を下げても、予算の使い方としては割高です。同じ商品の別の悩みに答える回を作る、時期をずらして公開するなど、本数を生かす計画があるかで判断が変わります。

単発の制作費と月額の運用費は別の表にする

単発の制作と月額の運用は、含まれる仕事が違います。月額の見積もりには、投稿作業、数字の振り返り、次の企画への反映といった制作以外の仕事が入ることが多いからです。

当社のドラマ型SNS運用は月額30万円〜で、本数と含む範囲はプランごとに公開しています。単発の単価に本数を掛けた金額と月額を同じ表で比べると、運用の仕事が「おまけ」に見えてしまいます。月額の見積もりは別の表を作り、「投稿」「分析」「改善提案」の行を足して比べてください。

見落としやすい行を足しておく

費目の行だけでは拾えない条件があります。修正、素材、権利の3つは、後から費用や手間が発生しやすいので、比較表の下に専用の行を足します。

足す行確認すること決まっていないと起きること
修正の範囲回数と、どの段階で直せるか撮影後の台詞変更が追加費用になる
納品素材完成動画以外に何を渡すか別媒体用の書き出しを再依頼する
二次利用広告配信や別媒体で使えるか出演者の利用条件を後から調整する
公開期間動画をいつまで公開できるか期間を過ぎて取り下げが必要になる

文化庁の映像制作向け契約書式は、制作する映像に第三者の著作物や肖像を使うときは制作者の責任で権利処理を行うこと、依頼者が納入作品をすみやかに確認し、企画意図に合わない等の理由で不合格とした場合は制作者が依頼者の指示に従って修正することを前提条件として示しています。自社の契約がこの書式どおりとは限りませんが、権利処理と修正を誰が担うかを表に書くときの確認項目として使えます。

音楽の行は特に書き方が分かれます。TikTokの商用楽曲ライブラリのように、ビジネス向けに使える楽曲を用意している媒体もあります。どの曲を、どの媒体で、誰の責任で使うのかを見積もりの段階で書いてもらうと、公開直前の差し替えを防げます。

空欄を埋める確認の文面

比較表に「記載なし」が残ったら、まとめて質問します。1社ずつ口頭で聞くと、答えの細かさがそろわないので、同じ文面を全社に送ります。次の文面は記入例で、実際の案件の条件ではありません。

お見積もりありがとうございます。社内で比較するため、次の点を教えてください。①制作費に含まれる工程(企画・出演者・撮影・編集・音楽・進行)②修正の回数と、撮影後に直せる範囲 ③完成動画以外に納品される素材 ④広告配信や別媒体での利用可否と期間 ⑤上記の条件で追加費用が発生する場合の項目と目安。

返ってきた答えは表の該当セルにそのまま書き写します。答えが「案件による」だった場合は、今回の依頼条件ならどうなるかを聞き直してください。条件がそろったうえでの差額であれば、その差がどの行から生まれているかが表から読み取れます。

流れをつかむ 比較表は3段階で埋める 1 書き写す 見積書を費目の行へ移す 2 そろえる 本数と期間を同じ条件に 3 聞く 記載なしを同じ文面で質問
金額を見るのは、条件がそろってから。 差額の理由が行で言えたら完了

差額の理由を1行で書けたら比較は終わり

表が埋まったら、最も安い会社と次に安い会社の差額を見て、その理由を1行で書きます。「B社は修正が撮影前の1回まで」「C社は出演者が1名で、2名の企画には追加が必要」のように、行の違いとして説明できれば比較は終わっています。

理由が書けない差額は、まだ確認が足りていない行があるということです。たとえば合計が10万円違うのに、表のどの行にも差が見当たらない場合は、「進行・管理」や「諸経費」の中身を確認していないことが多いです。安さそのものの理由を確かめたいときは、ショートドラマ制作が安い理由も参考にしてください。

価格と仕上がりの関係をプランで比べたいときは、4万円と15万円の違いで工程の違いを整理しています。値引きの相談をする前に条件を整えたい場合は、格安で頼むための発注条件が使えます。

よくある質問

相見積もりは何社から取ればよいですか?

比較表を埋めて差額の理由を説明できる数が目安です。社数を増やすほど質問のやり取りも増えるので、まず3社程度で表を作り、条件がそろわない会社が出たら入れ替える進め方が扱いやすいです。

見積もりの内訳を出してもらえない場合はどうしますか?

含まれる工程の一覧を聞いてください。金額の内訳が出なくても、工程ごとに「含む」「含まない」が分かれば比較表は埋まります。そのうえで、今回の条件で追加費用が発生する項目があるかを確認します。

合計が一番安い会社を選べばよいですか?

差額の理由を表の行で説明できるなら、それが判断材料になります。修正回数や二次利用の条件で差がついている場合、自社がその条件を必要とするかで選ぶ会社は変わります。

ナイトてんしょんの見積もりにも追加費用はありますか?

公開している制作プランは、キャスト費・スタジオ費込みで、制作開始後の追加費用はありません。依頼の範囲が公開プランと違う場合は、見積書で範囲を確認してから進めます。

見積もりを取るときに最初に伝えることは何ですか?

本数、1本の尺、公開先、使う期間、納品希望日の5つです。決まっていない項目は「未定」と書いて伝えると、各社がどの前提で見積もったかを確認できます。

比較表の空欄をご相談ください

ナイトてんしょんはTikTok・Instagram向けの縦型ショートドラマを企画から配信まで制作しています。お手元の比較表に当社の欄を足したい場合は、本数・尺・公開先・使う期間をお知らせください。ショートドラマ制作の相談窓口から、同じ条件での見積もりをお出しします。

参考リンク