2026年の動画広告予算は、届けたい相手、掲載面、確認したい成果を決めてから配分します。縦型動画の市場拡大は検討材料になりますが、それだけで自社の予算を縦型へ集中させる根拠にはなりません。制作費と広告媒体費、配信後に修正する費用を分け、同じ目的に合う提案を比較してください。
企業の発注担当者が使えるよう、市場の推計・予測と当社からの予算設計の提案を分けました。2026年10月9日時点で確認した公表資料を使い、将来の市場規模や個別動画の効果を確定値として扱わずに判断します。金額の内訳はショートドラマ広告の費用と始め方も参照できます。
2025年の市場推計と2026年の予測を分ける
サイバーエージェントとデジタルインファクトが2026年3月に公表した調査では、2025年の国内動画広告市場を8,855億円、2026年を1兆437億円としています。前者は過去の市場の推計、後者は将来予測です。調査対象は広告主の広告出稿額で、企業が動画制作に使った費用全体や、広告主の売上を表す数値ではありません。調査の定義と結果を確認して読む必要があります。
| 対象 | 2025年の推計 | 2026年の予測 |
|---|---|---|
| 国内動画広告市場全体 | 8,855億円 | 1兆437億円 |
| うち縦型動画広告 | 2,049億円 | 2,771億円 |
出典:サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」。縦型は全体の内数です。全体と縦型を足して市場総額にしません。調査期間は2025年11月〜2026年1月で、縦型の対象範囲を見直し、2024年の値も再推計しています。前年公表資料と比較するときは、同じ定義かを確認してください。
同調査の縦型の前年比155.9%は、前年を100とした比率です。増加率では55.9%になります。「155.9%増」と書くと意味が変わります。また、この伸びは広告主の支出の変化であり、縦型動画を使えば売上や問い合わせが同じ割合で増えるという結果ではありません。
縦型か横型かは、掲載面と見せる内容から選ぶ
スマートフォンの縦画面で人物の表情を近く見せる企画と、横に広い設備の操作を説明する企画では、残したい情報が違います。発注前に、動画が実際に表示される画面と、見せたい対象を並べます。流行している形式へ合わせるために、商品や手元が欠ける構図へ無理に切り抜かないようにします。
撮影前に、用途別の完成画角を確認する
縦型SNSへの投稿、自社サイトでの商品説明、展示会のモニターを同じ素材で賄う予定なら、それぞれの縦横と表示サイズを制作会社へ渡します。撮影時に残す範囲、字幕の位置、納品する版を先に合意してください。撮影後の切り抜きだけで対応できるかは、被写体の配置や必要な情報によって変わります。
当社が本記事で提案する判断は、最初の構成案に用途別の完成画面を添えることです。縦型を主に使う場合でも、横型への転用が必要なら、その場面で商品や人物が残るかを確認します。縦型・横型を同時に発注するときの決め方に、制作会社へ渡す条件を整理しています。
ショートドラマと説明動画を、目的に合わせて比較する
利用する場面や選ぶ理由を会話で伝えたい場合は、ショートドラマを候補にできます。操作手順や仕様を正確に見せたい場合は、実演や画面収録も比較してください。物語があるだけで最後まで視聴される、商品を冒頭に出すと必ず離脱される、といった保証は置けません。
企画を比べる際は「誰が何を知り、その後どこへ進むか」を各案に書きます。説明する情報量に合わせて尺を決め、1〜3分などの長さを先に正解としない進め方です。完成後の視聴データを使う場合も、掲載面や配信対象が異なる動画を再生数だけで順位付けしないようにします。
予算は制作・配信・検証の仕事へ分けて見積もる
「動画広告一式」の総額だけでは、企画から配信後の修正までどこを含むか分かりません。以下は見積もりを読むための整理で、業界共通の配分比率ではありません。案件ごとの作業を確認し、同じ費用を複数の欄に重ねて足さないようにしてください。
| 区分 | 含むか確認する仕事 | 発注前に揃える条件 |
|---|---|---|
| 企画 | 調査、構成、台本 | 目的、対象者、訴求、案数 |
| 撮影 | 人、場所、機材、収録 | 日数、支給物、利用条件 |
| 編集 | カット、字幕、音、書き出し | 尺、縦横、修正の範囲 |
| 広告媒体費 | 媒体へ支払う配信費 | 対象、期間、配信面 |
| 運用 | 入稿、配信調整、報告 | 担当業務、手数料の条件 |
| 検証・追加制作 | 数字の確認、別案の制作 | 比べる条件と作り直す範囲 |
| 社内作業 | 情報提供、法務・商品確認 | 担当、回答期限、承認手順 |
検証したい違いから制作本数を決める
冒頭の表現を比べたいなら、後半の内容や案内先を揃えた案を用意します。対象者も掲載面も同時に変えると、どの違いが結果に関係したか判断しにくくなります。制作会社と広告運用担当が別の場合は、どの版をどの条件で使ったか共有できるようにしてください。
最初から固定の本数や一律の予算割合を決める必要はありません。配信できる期間、見込める母数、確認したい差を踏まえて計画し、判断に足りない場合の扱いも決めます。納品後に別案を追加する費用と日数まで見積もりに残すと、初回の結果を次の制作へ反映できます。
アカウント運用と広告配信を分けて計画する
通常投稿の企画・制作・管理と、有料広告の入稿・配信調整は異なる仕事です。同じ動画を使っていても、担当者、必要な費用、取得できる指標を分けて確認します。通常投稿を続ければ自動的に獲得単価が下がるとは限りません。過去動画からの流入も、実際の数字で確かめます。
制作依頼の金額は制作費と見積もりの内訳、継続運用の担当範囲はSNS運用代行の費用と契約前の確認で整理できます。予算書には、制作物を増やす判断と、広告費を増やす判断をそれぞれ誰がするかも記入してください。
視聴の反応と問い合わせを別々に評価する
視聴維持、保存、コメントは動画への反応を知る材料です。相談獲得が目的なら、広告クリック、着地ページの訪問、問い合わせに向かう行動、実際の相談まで別系列で追います。視聴維持率が高いという理由だけで、予算を増やす判断はできません。KPI設計の確認事項と合わせて、企画の目的に対応する指標を決めます。
| 見たいこと | 指標の例 | 一緒に確認する条件 |
|---|---|---|
| 対象者へ届いたか | リーチ、表示回数 | 対象・掲載面・配信期間 |
| 映像が見られたか | 視聴時間、視聴維持 | 尺・再生の定義・母数 |
| サイトへ移動したか | 広告クリック、訪問 | それぞれの計測元と期間 |
| 相談に進んだか | 問い合わせクリック、送信 | イベント回数と実受信の区別 |
| 商談になったか | 内容を確認した制作相談 | 営業案内や採用応募との区別 |
数字の定義と取得日を報告へ残す
GA4のエンゲージメント時間は、ページがフォーカスされている時間などを測る指標です。内容を理解したか、購入を決めたかを直接測った数字ではありません。Googleの公式定義に合わせ、PVやセッションと分母を揃えて読みます。
クリック回数と問い合わせの受信件数も同じではありません。同じ人の複数クリックや別日の送信があり、件数差だけで離脱や計測故障の原因を決められません。制作相談と営業案内を分け、取得できない項目は未確認としたうえで、次に何を確かめるかを報告します。
続ける条件と止める条件を配信前に決める
商品の説明が誤っている、案内先が開かないなどの不備は、データが集まる前でも対応します。効果の比較は、条件と母数が揃うまで保留できます。「翌日には勝ち案が分かる」「数か月続ければ成果が出る」と一律の期限を置かず、評価する期間と追加費用の上限を合意してください。
報告は、観測値、原因の仮説、次に変える内容、再確認日の順にします。例えば視聴は続いているのに相談が少ない場合、案内文や着地ページ、配信対象を確認する候補にできます。どれが原因かは未確定なので、一度の変更で全てを直した結果だと断定しません。
動画広告の予算でよくある質問
市場が伸びている縦型へ全予算を移すべきですか?
市場規模だけでは判断できません。対象者、配信面、伝える情報、既存施策の反応を確認し、同じ目的を満たす形式を比較します。横に広い設備や細かな操作を見せる用途も含め、完成画角で必要な情報が残るかを確かめてください。
2026年の1兆円超は確定した実績ですか?
本記事の1兆437億円は、2026年3月公表調査における2026年の予測です。2025年の推計と区別し、調査時点を添えて扱います。
AIで制作すれば予算を削減できますか?
必要な表現、試作と再生成、編集、確認、利用条件まで含む見積もりで判断します。ツールの利用料だけでは制作の総額は分かりません。商品を正確に見せられるかも、全編制作の前に短い試作で確かめます。
視聴維持率が上がったら増額してよいですか?
企画の目的に対する結果も確認します。相談獲得を目指すなら、問い合わせ行動と内容を確認した相談まで追い、流入条件や母数を揃えて判断してください。視聴だけ改善した状態を売上効果と同一視しません。
予算の相談には、用途と確認したい成果を添える
ナイトてんしょんではショートドラマの企画・制作とSNS運用を扱っています。掲載先、対象者、公開予定、制作と広告を合わせた予算の範囲をお伝えください。制作・運用の相談フォームでは、決まっていない項目も含めてご相談いただけます。