出演料の振込額が契約書の金額より少ないときは、支払明細の源泉徴収税額を確認してください。国内の居住者が受け取る対象の出演報酬では、原則として支払う側が税金を差し引きます。対象額が1回100万円以下なら税率は10.21%。ただし、給与として受け取る場合や、支払う側の条件によって扱いが変わるため、金額だけで判定はできません。国税庁・対象となる報酬/源泉徴収のあらまし・184頁
ここでは俳優や歌手などが個人で受け取る出演報酬について、請求前と入金後に確かめる点を整理します。2026年に支払われる報酬を対象に、国税庁の公開資料で確認した一般的な説明です。海外居住者への支払い、法人が受け取る報酬、個別の申告義務の判定は対象に含めません。
源泉徴収は、出演料を支払うときの税金の処理
出演した仕事の契約と、受け取るお金の種類を見る
国税庁は、映画や演劇、音楽などの芸能、テレビ放送等の出演報酬を源泉徴収の対象に挙げています。自分が俳優か配信者かという肩書きだけで決めず、その仕事で何に対するお金を受け取ったかを確認します。契約書や発注メールを支払明細と一緒に残すと照合しやすくなります。国税庁 No.2792
雇用されて給与として受け取るものは、給与所得として源泉徴収します。出演報酬の式を給与明細へ当てはめることはできません。出演先に確認するときは「今回の支払いは給与と報酬のどちらですか」と尋ね、回答を保存してください。契約時の仕事内容や報酬の確認は、出演・配信の契約を扱った記事も参照できます。国税庁 No.2793
支払者が個人の場合には例外がある
対象の出演料でも、支払う人が個人で、給与等を支払っていない場合などには源泉徴収を要しないことがあります。国税庁は、給与等の支払者でない個人や、常時2人以下の家事使用人だけに給与を支払う個人について、ホステス等への報酬を除く例外を説明しています。源泉徴収されていない明細を見て、すぐに支払先の誤りと決めつけないでください。国税庁 No.2793
自主制作の舞台などで個人から振り込まれるときは、支払者の名義と支払いの種類を確認しましょう。自分への支払いで源泉徴収を行うか、行うなら何円を対象に計算するかを尋ねてください。判断が分かれる契約は、契約内容を示して税務署や税理士へ確認します。
税率を掛ける前に、対象になる金額を確定する
100万円を超える場合は、超えた部分の税率が変わる
国税庁の「源泉徴収のあらまし」では、出演等の報酬について、同じ人へ1回に支払う金額の100万円以下の部分に10.21%、100万円を超える部分に20.42%を適用します。例えば対象額が150万円なら、税額は102,100円+500,000円×20.42%=204,200円です。これは同資料の税率から計算した例で、出演料の相場を示す数字ではありません。源泉徴収のあらまし・184頁
100万円という境目は、年収の判定ではありません。請求書が複数ある、出演が複数日にわたるといった事情がある場合は、支払者がどの支払いを1回分として処理するかを明細で確認します。1円未満の端数は切り捨てます。国税庁の手取契約の計算例にも、この端数処理が示されています。国税庁・手取契約の計算
消費税と交通費は、請求書の記載と支払い方を確かめる
報酬と消費税等を合わせて請求する場合、原則は消費税等も含めた金額が源泉徴収の対象です。ただし、請求書等で報酬額と消費税等の額を明確に分けていれば、報酬額だけを対象にできます。この扱いは、適格請求書発行事業者として登録していない人が発行する請求書等にも認められています。国税庁・インボイス制度開始後の取扱い
例えば、報酬10万円と消費税等1万円を区分した請求について、報酬だけを計算の対象にするなら、源泉徴収は10,210円、振込額は99,790円です。消費税等を含む11万円を対象に計算する場合の税額は11,231円になるので、この場合の振込額は98,769円です。同じ請求総額でも、源泉徴収の対象額をそろえて照合する必要があります。いずれも他の控除がない仮定です。区分の条件/出演報酬の税率
交通費も、項目名だけで対象外にはなりません。支払者が交通機関やホテルへ直接支払う通常必要な範囲の費用は、報酬に含めなくてもよいと国税庁は説明しています。出演者が受け取る車代や立替精算については、誰にどのように支払うかを伝えて確認しましょう。国税庁 No.2792・注意事項
振込額と、契約で約束した手取りを見分ける
差し引く前の報酬から振込額を計算する
以下は、記載した金額の全額が源泉徴収の対象で、消費税等の別払い、交通費、事務所手数料、振込手数料がない計算例です。税率は10.21%として、報酬額から源泉徴収税額を引いています。契約上の報酬と通帳の数字をつなぐための表として使ってください。出演報酬の税率
| 対象となる報酬額 | 源泉徴収税額 | 差し引き後の振込額 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 1,021円 | 8,979円 |
| 50,000円 | 5,105円 | 44,895円 |
| 100,000円 | 10,210円 | 89,790円 |
| 1,000,000円 | 102,100円 | 897,900円 |
下の計算機は、自分の報酬額に近い数字を入れ、差し引き前後の違いを見るものです。入力は1万円刻みで、この刻みでは端数が発生しません。細かな金額や別払いの費用がある請求は、支払明細にある対象額から個別に計算してください。収入の組み方そのものを考えたい場合は、表現者の収入を整理する記事で、出演と他の活動を一緒に見渡せます。
源泉徴収税額は円
差し引き後は円
2026年の居住者の対象出演報酬、1回100万円以下の式。初期値0円は未入力を示し、出演料の相場ではありません。1万円刻みのため端数なし。消費税等の別払い・交通費・手数料は含みません。対象に該当するかは契約と支払者に確認してください。出典:国税庁・源泉徴収のあらまし184頁。
手取りで約束した契約は、差し引く前の金額を逆算する
「出演料10万円」と「税引き後の手取り10万円」では、約束している金額の意味が変わります。国税庁の手取契約の例では、10.21%の税率に対して、手取額を0.8979で割って支払金額を求めています。原稿料の手取り10万円の例は、支払金額111,370円、源泉徴収税額11,370円、差し引き後100,000円です。ここでは国税庁が示す計算例として紹介します。国税庁・手取契約の場合
出演依頼を受けた段階で、提示額が源泉徴収前なのか、税引き後に受け取る額なのかを確認してください。消費税等や交通費を含むかも別に聞くと、合意が具体的になります。当社は縦型ショートドラマを企画・制作し、出演者をキャスティングする立場です。制作現場へ入る前に報酬の内訳を文章でそろえておくことは、出演者と依頼側の双方が支払いを確かめる助けになります。
入金額が合わないときは、同じ明細で差額を確認する
振込額だけを10.21%で割り戻すと、消費税等や別の控除を見落とすことがあります。契約書・請求書・支払明細・入金記録を同じ案件でそろえ、次の順で数字を確認してください。下表は当編集部の照合用メモで、税務上の判断を自動で行う表ではありません。
| 確認する欄 | 支払者に尋ねる内容 |
|---|---|
| 支払総額 | 報酬、消費税等、交通費の内訳は何か |
| 源泉徴収の対象額 | 総額のうち、どこまでを計算に含めたか |
| 源泉徴収税額 | 適用税率と端数処理はどうなっているか |
| その他の控除 | 事務所手数料などを別に差し引いているか |
| 入金額 | 上の総額と控除額から計算した額に一致するか |
例えば「請求書の合計は11万円、入金は99,790円です。源泉徴収の対象額と税額、ほかの控除の有無を確認したいです」と伝えると、計算の前提から回答してもらえます。これは前の節の報酬10万円・消費税等1万円の例を使った確認文です。差額だけで未払いと判断せず、明細の誤記なのか、合意した費用の控除なのかを分けて確かめましょう。
確認した回答は元の請求書と一緒に残してください。金額の訂正があった場合は、訂正前後の明細がどの入金に対応するかも記録すると、年間の集計で二重に数えることを防げます。
還付されるかは、年間の税額と照合して決まる
出演のたびに引かれた税額を、明細ごとに残す
確定申告は、その年の所得と税額を計算し、源泉徴収された税金などとの過不足を精算する手続です。出演料から差し引かれた額だけでは、その人の年間の税負担が確定したとはいえません。年間の所得について計算した税額より、源泉徴収税額等のほうが多ければ、申告によって納め過ぎの還付を受けられる場合があります。国税庁 No.2020/No.2030
入金のたびに、出演の案件名、支払者、支払日、報酬額、源泉徴収税額、振込額を同じ記録に残す方法を勧めます。これは当編集部の整理案で、税務上の帳簿の代わりにはなりません。通帳だけを見返すと差し引く前の額が分からないことがあるため、明細を案件と結び付けておくと、年末に支払先へ確認する箇所を探せます。申告の際にどの所得へ入れるかも、仕事内容に沿って確認しましょう。
還付申告の期限と、申告が必要な人の期限を混同しない
国税庁は、確定申告義務のない人でも、税金を納め過ぎていれば還付申告ができると説明しています。その年の翌年1月1日から5年間提出できますが、期限内の申告が条件となる控除などには別の注意が必要です。この5年間という説明を、申告義務がある人の通常の期限を延ばせる意味で受け取らないでください。国税庁 No.2030
例えば、出演の仕事とアルバイトの給与がある人は、その年の資料をそろえて申告の要否を確認します。「出演料から引かれたから必ず全額戻る」と期待して、還付見込みを生活費へ組み込むのは避けたい。記事の計算機で求められるのも、1回の出演料から差し引く額です。源泉徴収のある出演料と、ほかの活動収入を分けて記録するところから始めてください。
よくある質問
Q. 少額の出演料なら源泉徴収されませんか
出演料に一律の少額免除があるとは扱えません。国税庁が説明する「1回5万円以下」の例には、懸賞応募作品等の入選者へ支払う賞金等という対象の限定があります。別の種類の報酬についての条件を、出演料にもそのまま使わないでください。対象額だけで迷うときは、支払いの名目と実際の仕事をそろえて問い合わせます。国税庁 No.2792
Q. インボイス未登録なら源泉徴収も不要ですか
インボイスの登録と、報酬の源泉徴収は分けて確認します。国税庁は、未登録の人が発行した請求書でも、報酬と消費税等を明確に区分すれば報酬額だけを源泉徴収の対象にできると説明しています。登録の有無だけを理由に、対象の出演料から税金を引く処理がなくなるとは判断できません。国税庁の取扱い
Q. 振込額が計算と合わないときは、何を聞けばよいですか
支払先へ「源泉徴収の対象額、源泉徴収税額、ほかに差し引いた項目を確認したい」と連絡してください。請求書と入金日を添えると、相手も該当の支払いを探せます。事務所手数料などがある契約では、その控除と税金を別々に照合します。差額の理由が分かるまでは、税率の誤りとも未払いとも決めず、確認できた内訳を記録に残すのが次の行動です。
次の出演依頼では、金額の意味を文面に残す
次に報酬を提示されたら、源泉徴収前後のどちらの額か、消費税等や交通費を含むかを聞き、回答を契約書や発注メールと一緒に保存してください。活動費や仕事の受け方は、表現者の生存戦略の記事一覧でも扱っています。
当社が運営するKAIMAKUは、表現者のためのライブ配信事務所です。出演と配信をどう組み合わせて活動を続けるか検討している人は、サポート内容を確認してください。税務上の判定や個別の申告は、税務署・税理士への相談と分けて進めます。