制作した動画を広告・採用・営業へ転用するには、今回の掲載先と編集内容が、契約や素材の利用条件に含まれるかを確認します。出演者と楽曲だけでなく、映像・写真・撮影場所・商品情報・納品形式も対象です。以前公開できたことだけでは、新しい用途の可否は決まりません。

この記事では、ナイトてんしょんが提案する確認の順番を、権利、素材、画面、内容、費用に分けて説明します。契約の個別判断は取り決めと利用状況によって異なります。まず「どこへ、いつまで、どんな形で出したいか」を制作側へ伝えてください。

最初に、元の利用条件と今回の用途を並べる

制作委託契約、出演承諾、素材のライセンス、納品時の取り決めを揃えます。著作権の譲渡を受けた場合と、利用許諾を受けた場合では確認する範囲が異なります。許諾された範囲で使えるなら、譲渡がないことだけを理由に転用不可とは判断できません。

流れをつかむ 用途を示して条件を照合 1 希望を整理 掲載先・編集内容 2 条件を確認 契約と各素材 3 不足を解消 合意・差し替え 4 最終版を検品 表示と内容
当記事の制作上の整理。案件の条件に合わせて確認します。

文化庁の著作権契約マニュアルは、利用条件や権利の扱いを契約で明らかにする考え方を説明しています。譲渡契約で著作権法27条・28条の権利が特掲されていなければ、譲渡した側に留保されたものと推定される点も確認が必要です。ただし、その記載だけで出演や音源を含むすべての権利確認が終わるわけではありません。

「短く切る」「台詞を変える」「別の曲を載せる」といった変更は、具体的な作業として相手へ提示します。すべての編集を一律に同じ法的扱いと決めず、許された変更と追加確認の範囲を相談してください。著作者人格権や第三者素材の条件も、権利の譲渡とは分けて扱います。

比べる項目元の契約・条件今回の希望
掲載先自社SNSなど広告、Web、会場など
用途商品紹介など採用、営業、再配信など
期間・地域合意済みの範囲延長や地域追加の有無
編集認められた変更尺、字幕、音楽の変更

出演者・音楽・映り込みを、転用先に合わせて確認する

出演者については、媒体、用途、期間、地域、編集の条件を照合します。「将来使う可能性あり」と書いただけで、その用途への許諾が成立したとは扱いません。未確定なら、追加利用の際の連絡先と協議の方法を決め、実際に使う前に必要な合意を確認します。

社員が退職した場合も、自動的に全カットの削除が必要とは限りません。元の同意や社内の取り決め、表示内容と現在の事実の違いを確認します。在籍しているように見える表現を直す必要がある場合は、字幕の修正で足りるか、映像の差し替えが必要かを相談します。

音楽は、曲の著作権と録音音源の権利を分けて確認します。JASRACの広告での音楽利用は、広告目的の複製と広告展開を区別しています。動画投稿サービスの契約や一般投稿の利用条件だけで、PR動画の制作・広告配信・会場上映まで一括で確認済みとはしません。

アプリ内で選んだ音源やライブラリ素材には、利用できる媒体や広告形式などの条件があります。別媒体への音付き転載も同じ条件で使えるかを確認します。楽曲を差し替える場合は、声とBGMが分かれた素材があるかを先に確認すると、編集範囲を相談しやすくなります。

撮影場所、看板、写真、イラスト、映り込む人物なども確認対象です。映っているものすべてに一律の許諾が必要と断定するのではなく、撮影時の取り決めと今回の使い方を照合します。判断が難しい箇所は、具体的なカットを示して法務や権利の担当者へ確認してください。

掲載先ごとに、画面と視聴環境を確かめる

同じ動画でも、スマートフォン、会社説明会のスクリーン、商談のPCでは見え方が違います。縦型動画を横型の面に置く方法には、余白を残す、背景や補足情報と組み合わせる、必要部分を切り出す、別の画で構成し直すなどがあります。二つの方法に限られるわけではありません。

確認するポイント 転用先の画面で確かめる 画面 顔と字幕が収まる 音 環境に合う聞こえ方 内容 現在の情報と一致
当記事の制作上の整理。案件の条件に合わせて確認します。

顔や商品が収まるだけでなく、字幕や注意事項が読めるかを確認します。元映像に文字が焼き込まれている場合は、トリミングで文字が切れる可能性があります。文字なしの映像や編集データがあれば、配置を見直せるかを制作側へ確認します。

掲載先確認する表示条件内容の見直し例
自社サイトプレイヤー、音声、画面幅前提を知らない人にも伝わるか
SNS広告配信形式、字幕やボタンの重なり商品の条件と案内先が一致するか
採用・説明会スクリーンと音響現在の働き方と表現が一致するか
営業・商談音を出せるか、共有方法相手の検討段階に必要な説明か
店頭・展示会画面の向き、再生機器途中から見ても内容を追えるか

広告向けの表示は、掲載時点の仕様を確認します。TikTokのIn-Feed広告の公式仕様でも、セーフゾーンは映像比率やキャプション等の条件で変わります。全媒体共通の余白を決めて終わりにはしません。

そのまま使うか、再編集するかを決める

転用先の視聴者が、元動画と同じ前提を知っているとは限りません。社内で伝わる略称や、前の投稿を見ていないと分からない台詞があれば、補足が必要かを検討します。逆に、商談の説明と動画の台詞が重複するなら、短くする案があります。

SNSから広告へ移すだけで反応が保たれるとは言えません。同じ画面でも、見る人、配信量、接触回数、広告であることの伝わり方が変わる場合があります。冒頭の固定秒数を変えれば解決すると決めず、伝える相手と内容を見直します。

例えば架空の商品紹介を採用説明会へ使うなら、商品を買う理由より、社員がどう仕事をしているかを見せたい場合があります。同じ素材から選べる画があるかを確認し、なければ別の説明や撮影が必要です。これは制作方法を比べる例で、特定の転用で成果が上がった実績ではありません。

商品名、価格、キャンペーン期間、リンク先が現在の情報と一致するかも確認します。映像をそのまま使える場合でも、以前の価格表示を残してよいとは限りません。古い情報の修正は公開済み動画の商品情報が変わった場合で扱っています。

再編集の依頼には、素材と変更箇所を揃える

依頼時は、完成動画だけでなく、保管している撮影素材、字幕や音の別データ、編集プロジェクトの有無を伝えます。すべてが揃っている場合と、完成動画しかない場合では、変更できる範囲が異なります。元データがあっても、使用ソフトや追加素材の条件を確認します。

変更箇所は時刻と内容で示します。「採用向けに直す」だけでなく、冒頭の会社紹介を残す、旧商品の画を外す、最後の案内先を変えるといった作業へ分けます。残したい台詞や動作も一緒に指定すると、短縮で必要な情報が落ちるのを防ぎやすくなります。

許諾の確認が未完了の素材は、仮素材として分けます。編集が進んでいることと公開できることを混同しないよう、公開前に確認すべき担当と期限を残します。納品物の整理は動画制作の納品データ、別会社へ渡す場合は制作会社変更の引き継ぎも参考になります。

費用と公開後の評価を、元の制作と分ける

再編集の費用は、素材整理、構成変更、字幕・音の修正、権利確認、追加撮影、納品形式、確認回数などで変わります。元素材を使えば必ず安くなるとは言えません。使える画が少なく作り直しが多い場合は、新しく撮る案との比較も必要です。

見積もりでは、作る版の数と用途を明記します。縦・横・字幕違いが何種類必要か、元データや文字なし版を受け取るかも合意してください。保管期間が終わると素材を利用できない場合があるため、保管と受け渡しの条件も確認します。

公開後は、元の投稿と転用先の数値を別に残します。期間、配信量、指標の定義が違うまま増減率を作らず、今回の目的に対応する指標を見ます。問い合わせクリックと実際の相談を分ける考え方はROIとKPIの整理で説明しています。

よくある質問

納品済みなら、そのまま広告に使えますか?

契約と素材の利用条件を確認します。広告が含まれない場合は、必要な追加合意や差し替えを済ませてから公開します。

別会社に再編集してもらえますか?

第三者による編集が許されるか、必要な権利と素材を利用できるかを確認します。著作権の譲渡があるかだけで、すべての条件を判断しないでください。

自社サイトや商談なら追加確認は不要ですか?

一律には言えません。元の許諾がその用途を含むかを確認し、音や字幕、商品情報も掲載先に合わせて照合します。

当社への動画制作・転用の相談では、元動画、希望する掲載先、変更したい内容、手元の素材を共有してください。確認が必要な範囲と再編集の方法から整理できます。