広告動画を差し替えるかどうかは、配信を始めてから何日たったかではなく、同じ人に何度も届いて、結果の単価が上がり続けているかで判断します。単価が上がっていても、原因がリンク先のページや予算の変更にあるなら、動画を作り直しても数字は戻りません。

同じ動画を見続けた人が反応しなくなる状態は、「クリエイティブ疲れ」や「広告疲れ」と呼ばれます。Meta広告では、この状態を広告マネージャの配信の欄に表示する仕組みがあり、TikTok広告も成果が落ちたときにクリエイティブを更新するよう勧めています。

この記事は、ショートドラマなどの広告動画を配信している企業の担当者に向けて、差し替えを考える数字の見方、各媒体の公式の説明、追加で制作するときに何を変えて発注するかを整理します。文中の架空例と表は説明のために当社が作った提案で、実案件の結果を示すものではありません。

クリエイティブ疲れは、同じ人に同じ動画が繰り返し届くと起きる

広告の配信先が同じ人たちに偏ると、1人あたりが同じ動画を見る回数が増えていきます。最初は興味を持った人も、何度も同じ冒頭を見るうちに指を止めなくなり、クリックや購入につながる割合が下がります。その結果、1件の成果を得るための費用が上がっていきます。

Metaのビジネスヘルプセンターは、広告疲れを、オーディエンスが同じクリエイティブを何度も見た場合に発生することがあるものと説明しています。利用者が広告に反応しにくくなるため、結果の単価が高くなる可能性がある、という説明です。

Metaは、結果の単価が過去の2倍以上になると「広告疲れ」と表示する

同じページによると、オーディエンスが同じ広告を何度も見たと判断された場合、広告マネージャの[配信]列に[過少クリエイティブ]または[広告疲れ]というステータスが表示されます。判断には、その画像や動画が最近表示されたすべての場合と、結果の単価が使われます。同じ動画をページの他のキャンペーンで使っていれば、それも数に入ります。

結果の単価が過去の広告より高いものの2倍に届かない場合は[過少クリエイティブ]、2倍以上の場合は[広告疲れ]です。キャンペーンを始める前でも、開始後7日以内に広告疲れが起きると予測されたときは、公開前に警告が出ます。ただし、この機能を使えるのは、クリエイティブを1件だけ使っている広告セットに限られます(Advantage+ カタログ広告、ダイナミッククリエイティブ、Advantage+ アプリキャンペーンは例外)。動画を複数入れている広告セットはこの機能の対象外になるため、次の節で説明する数字の動きから判断してください。

差し替えを考える前に、数字の変化と原因を分ける

結果の単価が上がったときに、すぐ動画のせいだと決めないことが大切です。単価は、動画以外の変更でも上がるからです。原因を取り違えると、新しい動画を作っても単価は下がらず、制作費だけが増えます。

関係を整理 単価が上がったら原因を分ける 見えている変化 まず疑うこと クリック率が低下 動画の疲れ 成果だけ減る リンク先のページ 全広告で上がる 予算・入札・時期
動画を作り直す前に設定の変更日を確かめる
見えている変化まず疑うこと確かめる方法
同じ人への表示回数が増え、クリック率が下がる動画の疲れ配信先の広さ・媒体の表示
クリック率は同じで、成果の件数が減るリンク先のページページの変更履歴・表示速度
全部の広告で同時に単価が上がる予算・入札・時期設定の変更日・前年同期
成果が急に0件になる計測の不具合計測タグ・テスト送信

動画の疲れを疑うのは、同じ人に表示された回数(フリークエンシー)が増えていく時期に、クリック率が下がり、結果の単価が上がっている場合です。クリック率が変わらないのに成果の件数だけが減っているなら、動画は見られていて、その先のページで離脱している可能性があります。動画とページの内容がずれていないかは、動画広告とLPの内容をそろえるで確認の手順をまとめています。

予算や配信先を変えた直後は、少し待ってから比べる

予算を増やしたり、配信する相手の条件を変えたりした直後は、配信の仕組みが新しい条件で配信先を探し直すため、数字が揺れやすくなると考えられます。その時期の数字だけで動画の疲れと決めると、判断を誤ります。設定を変えた日を記録しておき、変更の前後を分けて比べてください。

件数が少ないうちも注意が必要です。成果が1日に数件の広告では、1件の差で単価が大きく動きます。1日ごとではなく、1週間など一定の期間でまとめて見たほうが、傾向をつかみやすくなります。

媒体ごとに、差し替えと更新の説明が違う

差し替えの考え方は、媒体によって説明が異なります。配信の担当者と、どの媒体で何本の動画を回しているかを確認したうえで、各媒体の説明を読んでください。

Meta:元の広告を止めずに、素材の違う新しい広告を足す

Metaのヘルプでは、広告疲れに対するアドバイスとして、元のクリエイティブと素材が異なる新しい画像や動画で、別の広告を作ることを挙げています。その際、元の広告を一時停止やオフにせず、アクティブなままにしておくことで、結果を最大化できる場合があると説明しています。

Metaのヘルプでは、ほかに配信する相手の範囲を広げて、まだ広告を見た回数が少ない人に届ける方法も挙げられています。当社としては、文字の色を変える程度の手直しより、画像や動画そのものを変えることをおすすめします。

TikTok:広告セットに3〜5点を入れ、成果が落ちたら更新する

TikTok広告のクリエイティブのベストプラクティスは、広告セットごとにクリエイティブを3〜5点用意することを推奨しています。配信成果に一定の減少傾向が見られたときや、1日あたりの新規ユーザーが少なかったときは、広告セットのクリエイティブを更新するよう勧めています。

同じページでは新しい広告セットを作るより、既存の広告セットに新しいクリエイティブを追加したほうが、広告セットのライフタイムを伸ばせるとも説明しています。差し替え用の動画を発注するときは、どの広告セットに追加するかまで配信の担当者と決めておくと、納品後すぐに使えます。

Google:動画キャンペーンは、表示回数の上限を設定できる

Google広告では、同じ人への表示回数を抑える設定として、フリークエンシーキャップがあります。Google広告ヘルプの説明によると、動画キャンペーンのフリークエンシーキャップはキャンペーン単位で設定し、表示回数や視聴回数の上限を日単位・週単位・月単位で決められます。

ただし、対象はオークションのインストリーム広告とバンパー広告に限られ、デマンド ジェネレーション キャンペーンでは使えません。上限に達した人には、そのキャンペーンの広告が表示されなくなります。上限の設定は配信の担当者の判断になるため、動画を作り直す前に設定を確かめてもらってください。

差し替え用の動画は、冒頭か場面を変えて作る

差し替え用の動画で何を変えるかは、疲れたと考える理由から決めます。同じ人に何度も届いて反応が落ちたのなら、その人たちが最初の数秒で「前に見た動画だ」と分かる部分を変える必要があります。ショートドラマなら、最初に映る人物、場所、困りごとのどれかです。

架空のオンライン英会話サービスで考えます。最初の動画は「会議で英語の質問に答えられず、黙ってしまう会社員」から始まり、レッスンを受けて次の会議で答えられる結末でした。差し替え用には、結末と商品の見せ方を残したまま、冒頭の場面だけを「海外からの電話を取り次げない受付担当」と「旅行先で注文できない学生」に変えた2本を作ります。どちらの冒頭で成果の単価が戻ったかを見れば、次に作る動画の対象者を絞り込めます。

流れをつかむ 差し替え用は冒頭だけ変えて比べる 1 残す 結末と商品の見せ方 2 変える 冒頭の人物・場面を1つ 3 足す 元の広告と並べて配信する 4 比べる 成果の単価が戻った冒頭を選ぶ
架空のオンライン英会話の例。当社の提案

全部を作り変えると、どの違いが効いたのかが分からなくなります。変える要素を1つに絞る考え方は、動画広告のABテストや、ショートドラマは何本作るかでも説明しています。

編集だけで作れる差し替えと、撮り直しが必要な差し替え

撮影済みの素材で冒頭の順番を入れ替えたり、別のテイクを使ったりするだけなら、追加の撮影なしで作れる場合があります。15秒版などの短縮版も既存の素材から作れます。短縮版の発注の仕方はショートドラマの短縮版で扱っています。

一方、冒頭の人物や場所を変える場合は、撮影が必要です。最初の撮影のときに、冒頭だけ別の場面を何パターンか撮っておくと、差し替えの時期に撮影をし直さずに済みます。撮影素材をどこまで残してもらえるかは、撮影素材はいつまで残るかを参照してください。

追加制作を発注するときに渡すもの

差し替え用の動画を発注するときは、「新しいのを作ってほしい」だけでは、制作会社は何を変えればよいかを判断できません。次の情報をそろえて渡すと、見積もりと企画が早く進みます。

  • 配信中の動画と、配信を始めた日
  • 結果の単価やクリック率が変わり始めた時期と、その前後の数字
  • 同じ時期に変えた設定やページ(予算・配信先・リンク先など)
  • 残したい要素(商品の見せ方、結末、必ず入れる表示)
  • 変えたい要素の候補と、追加する広告セットや媒体
  • 差し替えたい時期

数字は、次の動画で何を変えるかを制作会社と一緒に考える材料として共有します。媒体の管理画面の画面写真や、週ごとの数字の表があれば十分です。

最初の制作のときに、差し替えの予定まで決めておく

配信を長く続ける予定があるなら、最初の発注のときに、差し替え用の動画をいつ、何本作るかを見積もりに入れておく方法があります。後から1本ずつ追加で発注するより、同じ出演者と同じ場所でまとめて撮るほうが、条件がそろい、準備の手間も1回で済みます。

当社の制作現場では複数本の企画を同じ撮影日にまとめて撮る前提で、撮影の時間割と出演者の割り当てを組んでいます。差し替え用の冒頭も、この時間割に数カットを足す形で撮れる場合があります。撮影日を改めて設けると、出演者と場所をもう一度押さえなければなりません。配信を続ける予定が分かった段階でご相談いただければ、時間割に組み込める範囲を確かめやすくなります。

当社の単発制作の料金は、ライトショートドラマが1本5万円から(3本以上)、POVショートドラマが1本4万円から(3本以上)、ショートドラマが1本15万円から(2本以上)です。例えばライトショートドラマで冒頭の人物や困りごとを変えた3本を同じ日に撮れば、15万円から、配信開始の時点で差し替えの候補をそろえられます。料金の内訳はショートドラマ制作費はいくら、社内で予算を通す資料は動画制作の稟議を通す方法を参照してください。

よくある質問

何日ごとに差し替えればよいですか?

決まった日数はありません。配信する相手の人数や予算によって、同じ人に届く回数が増える速さが変わるためです。日数で決めるより、同じ人への表示回数と結果の単価の推移を週ごとに記録し、単価が上がり続けた時点で差し替えを検討してください。Meta広告で動画が1本だけの広告セットなら、配信の欄の表示も判断の材料になります。

差し替えたら、元の動画は止めたほうがよいですか?

Metaのヘルプでは、新しい広告を作る際に、元の広告をアクティブなままにしておくことで結果を最大化できる場合があると説明しています。TikTokも、既存の広告セットに新しいクリエイティブを追加すると広告セットのライフタイムを伸ばせると説明しています。止めるかどうかは、媒体の説明と配信の担当者の判断で決めてください。

予算が少なければ、疲れは起きにくいですか?

1日の予算が少なければ、表示される回数そのものが少ないため、同じ人に届く回数の増え方も緩やかになると考えられます。ただし、配信する相手の範囲が狭い場合は、予算が少なくても同じ人に繰り返し届きます。予算の大きさだけでなく、配信する相手の広さと合わせて確認してください。

編集だけで直すのと、新しく撮るのはどちらがよいですか?

同じ人が「前に見た動画だ」と気づくのは、主に最初の数秒です。冒頭のカットを別の素材に入れ替えられるなら、編集だけで試す価値があります。冒頭に使える別の素材がない場合や、人物や場所ごと変えたい場合は、撮影が必要になります。

差し替えを考え始めたら、配信中の数字を添えて相談する

まだ動画の疲れかどうかが分からない段階でも、配信中の動画と数字の推移が分かれば、何を変えて作るかを一緒に整理できます。差し替えたい時期と、残したい要素も共有してください。

ナイトてんしょんでは、広告配信用のショートドラマの企画・撮影・編集と、差し替え用の追加制作の相談を受け付けています。ショートドラマ制作の料金と流れを確認し、制作の相談窓口から、配信中の媒体と差し替えの希望時期をお知らせください。