ショートドラマの登場人物は、「その人がいることで、誰の行動が変わるか」を確かめて決めます。二人なら必ず分かりやすい、三人以上なら盛り上がる、といった共通の正解はありません。必要な役割を台本に置き、同時に撮影できる人数と時間を確認すると、企画と見積もりをつなげられます。

この記事は、企業がSNS用のドラマを発注するときの人数設計を扱います。社員と俳優のどちらに出演を頼むかは出演者の選び方、誰の視点で描くかは主人公の設計で検討する問いです。ここでは、決めた主人公に対して、相手役や第三者を何のために置くかを整理します。台本例は当社編集部が説明用に作った架空の場面で、実際の案件や効果実績ではありません。

人数を決める前に、一人ずつの役割を書く

企画書に「主人公・同僚・上司」と肩書きだけを並べると、三人とも同じ説明をする台本になりがちです。まず主人公が何をしたいのかを書き、その希望に相手がどう反応するかを決めてください。さらに人を出すなら、その人が知っている情報や、その人の前だから言えないことを設定します。

流れをつかむ 役割を確かめて人数を決める 1 主人公の望み 何をしたいか 2 相手の反応 行動をどう変えるか 3 追加する理由 新しい情報や関係
当社編集部の検討手順。最適人数や成果を保証するものではありません。

たとえば「新人が分からない作業を先輩に聞く」という採用向けの場面なら、新人には質問するか迷う役割、先輩には質問へ応える役割があります。上司を追加する場合、「最後に会社の方針を説明する」だけなら、先輩の台詞と重複するかもしれません。一方、先輩も上司に確認しながら答える場面にすると、分からないことを職場でどう扱うかを見せられます。

これは人数ごとの優劣を示す例ではありません。新人と先輩の間で解決する話にしたいなら二人の案を検討でき、教える側も相談できる職場を描きたいなら上司が加わる理由があります。会社の実際の働き方と一致するかは、発注側の担当者に確認してもらいます。

当社編集部が台本の検討で勧めるのは、人物を一人外した版を仮に読んでみる方法です。外しても出来事も結末も変わらなければ、台詞を別の人物へ渡せるか検討します。外したことで迷いや判断が伝わらなくなるなら、その人が担う働きを残します。実在の社員の発言や顧客の経験を、この試作のために創作して事実として載せることは避けてください。

二人と三人では、同じ相談場面がどう変わるか

次は、店員が贈り物を選ぶ客に話しかける架空の台本です。商品について未確認の性能や効果を言わせず、贈る相手を想像する会話に絞っています。演者の年齢・性別は企画に応じて検討でき、役割を特定の属性へ固定する意図はありません。

二人の案:客の迷いを、店員が聞き取る

客「どれなら喜んでもらえますかね」 店員「その方は、普段どんなものを選びますか?」 客「自分の物はいつも後回しなんです」 店員「今日くらい、その方の好きなものにしましょうか」 客は一度戻しかけた商品を手に取る。

この案では、客が相手の好みを思い出し、店員の問いをきっかけに選び直します。画面を確認するときは、最初に迷っていた商品と、最後に選ぶ商品が判別できるかを見ます。台詞だけで説明を終えると、客が何を決めたのか見えないため、手に取る動作まで台本に残す案です。

撮影では二人の会話を一つの画面で見せる方法も、それぞれの表情を撮る方法も考えられます。人数が二人でも、商品や手元を細かく撮れば必要なカットは増えます。「二人なら何時間で撮れる」と先に固定せず、見せたい動作を制作会社と確認してください。

三人の案:同行者が、客の知らないことを伝える

客「母は、こういうの使わないと思う」 同行者「この前、同じ色を見て『いいね』って言ってたよ」 客「私には言わなかったのに」 店員「贈りたい方の、好きな色なんですね」 客は同行者を見てから、商品を手に取る。

三人目は、客が知らなかった母の好みを伝えています。その情報によって客の選び方が変わるため、この台本では登場する理由があります。ただ横でうなずくだけの人物を足す場合とは働きが違います。店員の台詞は商品の効能の説明にせず、客の選択を受け止める一言にとどめた例です。

一方で、客と同行者の関係や、誰への贈り物かを視聴者に伝える必要が増えます。名前を全員分読み上げるより、台詞と立ち位置で関係が伝わるかを読み合わせで確認します。この案のほうが売れる、視聴が長くなるとは断定できません。企画の目的に合う場面かどうかを判断するための比較です。

顔が映らない相手も、制作の条件に数える

画面に映るのが一人でも、電話の相手、画面外の声、メッセージの送り主が物語を動かすことがあります。企画書では「画面に映る人物」と「声・文章で登場する人物」を分けると、どの素材を誰が用意するかが伝わります。出演者の人数と、物語の登場人物の数が一致するとは限りません。

一人二役も同様です。出演者を増やさず別の人物を描けますが、衣装や位置の変更、同時に画面へ出す方法、声の区別を考える必要があります。一人で演じることを、そのまま制作時間や費用が半分になる根拠にはできません。

登場の形台本に書く内容制作側との確認
顔と台詞行動・発言・関係同時出演の場面
画面外の声誰の声か収録の担当と方法
メッセージ送り主と文面画面素材の用意
一人二役役ごとの違い着替え・画面の合成

表は素材を数えるための整理です。声だけなら許諾や確認が不要、社員なら追加の調整が不要、という意味ではありません。依頼する媒体・利用期間・収録内容を相手と確認してください。契約の具体的な検討が必要なら、出演者契約と二次利用の確認項目で扱う範囲も合わせて整理できます。

見積もりには総人数と、同時に必要な人数を書く

シリーズ全体で五人が出ても、全員が同じ場面に登場するとは限りません。反対に、一話だけに出る三人が同時に必要なら、三人の予定と撮影場所の利用時間を合わせる必要があります。人数の一覧だけでは、この違いが制作会社へ伝わりません。

関係を整理 全体の人数と同時出演を分ける 数えるもの 決めること 全話の登場人物 必要な役割 同じ場面の出演者 全員がそろう日時 声・文章の登場 別途用意する素材
本文の架空例を工程へ落とすための整理。所要時間・料金の比例関係ではありません。

発注時は、各場面に出る人物へ印を付けた簡単な表を添えてください。次は記入方法の例で、標準の撮影時間を示すものではありません。

場面同時に出る人物外せない条件
店頭で相談客・店員店内の音を確認
同行者が合流客・店員・同行者三人がそろう時間
選んだ商品客の手元商品の予備

台詞のない待機時間にも、出演者の拘束や場所の確保が関わります。着替え、メイク、移動、商品の準備、休憩、撤収を工程に入れ、撮る順番を相談します。具体的な日程は撮影の香盤表へ落とし込み、人数の増減があれば見積もりの前提も更新してください。

JAC映像制作ガイドライン(2025年10月)も、企画・撮影準備・撮影・編集の期間を十分に確保し、仕様変更時はスケジュールを再調整する考え方を示しています。人数ごとの標準単価や納期を定めた資料としては使いません。

予算を抑える相談では、削る人物の出演費だけを見ると、役割を引き受けた別の人の台詞や収録が増えることを見落とします。二人案と三人案で、撮影場所、カット、衣装、修正範囲までそろえて違いを確認してください。制作費の見積もりの内訳を使えば、出演以外に変わる費目も確認できます。

撮影前は読み合わせ、公開後は条件をそろえて確かめる

台本を読んだ人に、誰が何に迷い、どの人物の言葉で行動を変えたかを説明してもらいます。答えにくい場合は、登場人物をすぐ削る前に、呼び方、台詞の順番、視線、商品を持つ手を見直します。情報が足りないのか、人物の役割が重複しているのかで直し方が違うからです。

スマートフォンの縦画面でも確認します。三人が横並びになる構図では顔や商品の大きさを、一人ずつ映す構図では視線と切り返しで話し相手が分かるかを見ます。TikTok for Businessのクリエイティブガイドは縦画面に合わせた制作と、音や会話を使う表現、複数の案のテストを案内しています。特定の登場人数を成功条件とする資料ではありません。

公開後の視聴維持や離脱箇所は、修正する場面を探す手がかりになります。ただし、三人目が映った瞬間に視聴が減っても、その人が原因とは限りません。台詞、音、画面転換、配信先の違いも記録します。二人案と三人案で演者や結末も変えたなら、人数だけの効果を分離できないことを報告に残してください。

企業動画では、商品の理解や案内先への移動、問い合わせにつながったかも別に確かめます。再生が増えたことだけで、登場人物を増やした判断を成功としないことが大切です。検証項目を決める際は視聴データを次の企画へ返す手順も参考になります。

登場人物の人数についてよくある質問

何人までなら分かりやすく作れますか?

一律の上限では決められません。人物の関係、台詞、動画の尺、画面の見せ方によります。名前を知らなくても関係と行動が分かるかを、台本と試写で確かめてください。

一人だけでショートドラマを作れますか?

一人が迷って選ぶ場面や、画面外の相手に反応する構成を考えられます。声やメッセージを使う場合は、その制作と収録の担当も見積もりに含めて確認します。

三人目の出番が少なければ安くなりますか?

完成動画に映る秒数だけでは決まりません。出演条件、拘束時間、準備、利用範囲を制作会社へ確認してください。価格を人数だけで比例計算しないようにします。

社員を追加出演させてもよいですか?

まず、台本に必要な役割と本人の出演意思、業務予定を確認してください。当日になって人数を増やすと画面構成や収録順も変わるため、撮影前に制作担当者へ相談します。

制作相談には、人数の希望と理由を添える

「出演者は二人まで」と希望するなら、予算の都合か、日程か、物語を絞りたいのかも共有してください。理由が分かると、声の出演を使う、場面をまとめる、別の台本を検討するなど、比較する案を具体化できます。必須の登場人物と、変更できる役割を分けて渡すと相談を進めやすくなります。

ナイトてんしょんでは、企画・脚本から撮影・編集までのショートドラマ制作に対応しています。まだ人数を決めていない段階でも、動画の目的、登場させたい人、公開希望日を制作相談フォームへお寄せください。記事中の例をそのまま採用する前に、自社の商品と撮影条件に合わせて検討しましょう。