東南アジアで縦型ドラマの配信を検討するなら、ダウンロード数、アプリ内課金、企業広告の成果を分けて読みます。アプリが多く利用されていても、自社の動画が利益を出せるとは限りません。最初に決めるのは、作品を販売するのか、ブランドの商品を知ってもらうのか、どの国の誰へ届けるのかです。
Sensor Towerの2025年6月の報告では、東南アジアのショートドラマアプリは2025年第1四半期に約8,700万ダウンロードとなり、前四半期比61%増でした。これは対象アプリの利用拡大を示す推計であり、広告売上や個別作品の利益ではありません。Sensor Towerの地域別分析
ダウンロードと売上は別の問いに答える
市場を比較するときは、数値の大きさより先に、期間、地域、対象となる売上の範囲をそろえます。同じ調査は、世界のショートドラマアプリのアプリ内課金売上が2025年第1四半期に約7億ドルに達したと推計しています。ただし、広告収益やサードパーティーAndroidストアのデータを含まないと明記しています。集計範囲と推計値の説明
この2つの数字から「東南アジアはダウンロードが多いから高収益」「アプリ内課金が少ないから広告で十分回収できる」とは判断できません。広告収益が集計の外にあることと、広告収益が多いことは違います。事業を検討する会社は、配信先へ分配条件、視聴者を集める費用、運営費の資料を別に求める必要があります。
例えば、初期予算が同じ2案でも、一方が作品の配信権を販売する契約、もう一方が広告費を自社で払い続ける契約なら、入金の条件が異なります。市場調査は候補を探す入口に使い、収支計画は今回の契約条件から作ってください。当社は海外の市場規模を、そのまま制作案件の売上見込みへ置き換えることを勧めません。
タイとインドネシアには通信会社との配信事例がある
タイのAISとShortMax
タイのAISは、公式サイトでShortMaxを利用できるサービスを案内しています。紹介ページには、中国・韓国などの作品や、タイ語の字幕・吹き替えに対応する作品が示されています。この事例から確認できるのは、通信会社のサービスを通じてショートドラマを届ける経路があることです。AISのShortMax紹介・サービス案内
ただし、AISに配信経路があることは、日本の制作会社が同じ条件で作品を供給できる根拠にはなりません。配信権の窓口、対応言語、審査、契約期間、素材仕様は、作品を持ち込む前に個別に確かめます。利用者向け料金表だけを見て、制作側に支払われる金額を推定しないようにしてください。
インドネシアのTelkomselとDramaBox
インドネシアのTelkomselも、DramaBoxを利用するパッケージと、MyTelkomselなどを通じた利用手順を公式に案内しています。ここでも、通信サービスと動画サービスを組み合わせた提供が確認できます。TelkomselのDramaBox案内
利用開始の導線が確認できても、契約者数、視聴完了率、作品の売上配分まではこのページから判断できません。企業が広告企画を持ち込むなら、広告枠を買うのか、作品の一部を制作するのか、別のSNSへ配信するのかを先に分けてください。「その国で人気のアプリに関わる」という説明だけでは、納品物も効果の測り方も決まりません。
参入方法は、作品販売と企業の広告制作で分ける
当社が発注前に整理するなら、次の3つに分けます。この表は契約を検討するための案であり、各国で同じ商流が使えると保証するものではありません。
| 検討する仕事 | 先に確かめる条件 |
|---|---|
| 完成作品の配信権を提供する | 地域、言語、独占性、期間、対価 |
| 現地向けの作品制作を受託する | 台本の承認者、制作範囲、検収、支払 |
| 自社商品の広告を配信する | 対象客、配信先、広告費、評価する行動 |
完成作品を持っていても、出演者、音楽、原作などの利用範囲が海外配信まで含まれるかは契約を確認します。一般的な確認資料として、文化庁の著作権に関する情報も参照できますが、個別案件の権利処理を資料だけで完了した扱いにはできません。
企業広告では、視聴数だけでなく、商品を検討する人が見たかを評価に含めます。最初の配信で売上を断定的に予測するより、対象言語で内容が伝わるか、誤解される表現がないか、商品ページに移った人がいるかを分けて確認します。制作と配信の予算を分ける考え方は制作費の内訳で詳しく扱っています。
翻訳の前に、何を変えてよいかを決める
国内向け台本を別の言語へ置き換えるだけで完成とせず、商品名、人物の関係、説明に必要な前提を現地の確認担当へ渡します。国籍から一律に好みや文化を決めつけず、今回の対象者と場面で確かめることが大切です。これは当社の制作上の提案であり、国別の消費者調査の結論ではありません。
例えば、主人公が商品を選ぶ理由を会社の制度に頼って説明していると、その制度を知らない視聴者には行動が伝わらない可能性があります。翻訳者に言葉だけを直してもらうのか、設定を変更する提案まで依頼するのかを決めます。変更した台本は、商品情報を確認する担当と、現地表現を確認する担当の両方に戻してください。
確認は完成後の一度だけにせず、あらすじ、台本、字幕を入れた映像の順で行う方法を提案します。台本段階なら変更できる設定が、撮影後には撮り直しになることがあるためです。翻訳と監修をどちらも「現地対応」と一括りにせず、それぞれの納品物と回数を見積書へ記入してもらいます。
国内制作の料金を、海外対応込みの価格と扱わない
ナイトてんしょんの国内向け公開プランは、POVが4万円/本〜・3本以上、ライトが5万円/本〜・3本以上、本格ドラマが15万円/本〜・2本以上です。最低総額は12万円〜、15万円〜、30万円〜で、キャスト費・スタジオ費込み、追加費用なしと案内しています。公式の制作料金
これは、翻訳、現地監修、海外での撮影、配信権の取得までを一律に含むという案内ではありません。海外向けの相談では、希望国、言語、納品本数、配信先、利用期間を提示し、対応可否と正式な総額を確認してください。当社へ相談する場合も、公開単価から海外展開の予算を自動計算せず、希望する範囲を最初に共有していただく必要があります。
見積もりを比べるときは、国内制作部分と現地対応部分を分けます。現地側に残る作業がある案を安く見せないよう、その担当と費用も含めて判断してください。相見積もりの条件整理は、このような範囲の違いを見つける際にも使えます。
よくある質問
東南アジアなら広告で収益を回収できますか?
ダウンロード推計だけでは判断できません。広告収益を含まない調査から、広告で利益が出ると推定するのは避けます。配信先の契約、売上の分配、集客費用、制作・運営費を確認し、未取得の数字は未取得のまま残してください。
日本の作品をそのまま配信できますか?
配信先の審査や素材仕様に加え、作品に含まれる権利の利用範囲を確認する必要があります。字幕を付ければ必ず配信できるという意味ではありません。現地対応の費用と確認担当を決めてから、制作条件を固めます。
最初から複数の国へ展開するべきですか?
国数より、誰が台本・商品表現・契約を確認できるかで判断することを提案します。対象を一つに絞る場合も、成功が保証されるわけではありません。最初の検証で何を判断し、どの条件なら継続するかを発注前に決めます。