ショートドラマの企画書には、誰に何を伝える作品か、どんな出来事を描くか、いくらでいつ作れるかを揃えます。発注側が「この条件で脚本へ進める」と判断できることが目的です。市場規模や参考動画の再生数だけでは、自社の企画を選ぶ理由にはなりません。

ナイトてんしょんはショートドラマの企画・制作を行っています。この記事では、企画を依頼する企業と、提案を作る担当者が使える書き方を提案します。記入例は説明用の架空例です。企画が必ず承認される書式や、再生数を保証する方法としては扱いません。予算決裁に使う資料は動画制作の稟議、撮影前の完成台本は台本チェックで別に整理しています。

最初の一枚で、何を承認してほしいかを示す

最初に伝えるのは、作品の目的と今回求める判断です。「脚本の初稿へ進みたい」のか、「撮影日と出演者を確定したい」のかで、必要な情報が変わります。未確定の予算で撮影まで承認されたように扱わないため、承認する範囲を表紙か冒頭に置いてください。

流れをつかむ 承認する範囲を先に決める 1 企画の判断 目的とあらすじ 2 制作の判断 予算と実現条件 3 公開の判断 事実と利用範囲
当記事の整理。案件の条件や計測範囲に応じて確認します。

例えば、採用目的なら「応募前に、入社後の仕事を具体的に想像してもらう」と書けます。そのうえで「新人が質問をためらう場面を描く案について、職場描写と撮影可否の確認をお願いしたい」と続ければ、読む人が何に返答すればよいか分かります。「企業認知を高める動画を作りたい」だけでは、企画のどこを評価するかが残りません。

一枚に収めるのは内容を省くためではなく、最初に決める事項を見渡すための提案です。詳細資料の枚数に一律の標準は置きません。脚本案、見積書、利用条件を別紙にする場合は、参照先と版を記して対応を追えるようにします。

企画書に入れる7項目と、記入する内容

次の項目は当記事で提案する整理方法です。提出先の指定書式がある場合は、その項目へ対応させてください。担当者が分からない項目は空白にせず、誰に提案を依頼するのかを記します。

項目記入の中心確認する人
目的伝えたい変化発注責任者
対象見る人の状況企画担当
あらすじ行動と結末脚本担当
人物役柄と関係企画・出演担当
演出画と音の方針制作担当
日程確認日と公開日進行担当
予算範囲と上限発注責任者

目的と対象を、場面に置き換える

「若者向け」だけで止めず、どんな場面にいる人へ届けるかを考えます。例えば「初めて転職を考え、入社後に質問できる職場か気にしている人」なら、企画に必要な会話を検討できます。年齢や性別を細かく並べただけでは、人物が何に困るのかは決まりません。

目的は視聴者に求める行動とつなげます。仕事内容を理解してもらう段階なら、作品と採用ページの説明が一致しているかを確認できます。応募数を確認するなら、どの応募を集計するか、募集条件が途中で変わらないかも必要です。再生数だけを採用の成果に読み替えないよう、企画書の時点で分けておきましょう。

あらすじには、結末まで書く

提出用のあらすじでは、意図的に結末を隠すと、ブランドがどう描かれるかを確認できません。主人公が何を望み、何に阻まれ、どんな選択をするかを順番に書きます。宣伝用の紹介文と、制作判断に使うあらすじは役割が違います。

架空の採用企画なら「新人が質問をためらって作業を抱え込む。先輩は急ぐ理由を聞き、締め切りと相談先を一緒に整理する。新人が自分から次の確認を頼む」といった形です。このままでは出来事の意外性が足りないと感じるなら、人物が質問できない理由や、先輩が最初に誤解する場面を検討できます。笑いや驚きのために、実際の業務と違う説明を足さないことも確認点です。

冒頭には物語の問いが生まれる台詞や行動を置きます。必ず特定の秒数や型に従うという規則にはせず、最後の選択まで因果がつながるかを読んで確かめます。具体的な脚本の組み方はショートドラマの脚本を参照してください。

人物像と出演者の条件を分ける

「不器用だが仕事を覚えたい新人」は役柄の説明です。「社員が出演するか、俳優へ依頼するか」は制作条件で、別に記します。人気のある出演者名を先に置くと、その人が出演できない場合に企画全体を作り直すことになります。役に必要な振る舞いを先に書き、起用候補は実現性と一緒に比較します。

実在社員の体験を参考にする場合は、どこが事実で、どこが創作なのかも制作側へ伝えます。会社名を出さなくても本人や周囲が分かる描写はあり得ます。公開範囲の確認が済んでいない話を、承認済みの実話として企画書に載せないでください。

演出と予算は、実現する条件まで結び付ける

「映画のような映像」「テンポよく」という言葉だけでは、見積もりに必要な作業が分かりません。撮影する場所、人物の人数、商品の扱い、音声や字幕の必要性を記します。参考動画はURLに加え、「会話の間を参考にする」「画面の色は採用しない」など、使う部分を言葉で示すと認識を合わせやすくなります。

複数の参考作品から、照明、出演人数、編集速度、ロケ地をそれぞれ選ぶと、当初の予算では実現できない組み合わせになる場合があります。優先したい要素と、費用に応じて変更できる要素を分けてください。撮影場所を一つにする案と、移動を伴う案は別案として見積もりを比べられます。

公開先と利用範囲を記入する

SNSへの通常投稿、自社サイト、広告配信では、納品物や確認する利用条件が変わります。映像の制作を依頼するときの契約項目は、文化庁の映像制作向け契約書式も参考になります。企画書は契約書の代わりにはなりませんが、予定する利用を先に共有する資料にはなります。

音楽も、投稿先の音源を使う案と、複数媒体へ納品する案を混ぜないようにします。TikTokの商用音楽利用の案内などで使用条件を確認し、制作会社へ利用先を伝えてください。権利が未確認の参考曲を、そのまま使える前提で発注することは避けます。

公開日から、社内確認の時間を引く

企画、脚本、撮影、編集、納品の間に、発注側が確認する日を入れます。「来月公開」だけで工程を組むと、社内で複数部署が確認する日数が抜けます。確認担当と締め切りが決まらない工程は、未確定として見える状態にしておきましょう。

当社のPOV制作は4万円/本〜・3本以上が料金の起点です。企画書に単価だけを書くと最低本数を落とすため、単発POV4万円/本〜(3本以上)と対象範囲を一緒に確認します。ほかの形式は現行の制作プランと個別見積もりを参照してください。

予算にも制作費と配信費を別に書きます。提案段階では上限や未定条件を伝え、見積書が届いたら対象範囲を照合してください。相場の数字だけを転記して決裁を求めるより、見積もりの内訳を揃えた方が、追加条件が出たときに説明できます。

提出前は、判断できない箇所を探す

文章の言い回しを整えたら、企画を初めて読む人の立場で確認します。人物の行動が台詞の説明だけになっていないか、商品が登場する理由があるか、結末が発注目的と食い違わないかを見てください。脚本の面白さとブランド情報の正確さは、片方を確認してもう片方も合格したとは扱いません。

流れをつかむ 未定事項は担当へ渡す 1 何が未定か 未確認の箇所 2 誰が決めるか 確認担当と期限 3 何を承認したか 合意した版を保存
当記事の整理。案件の条件や計測範囲に応じて確認します。

決定事項と提案中の事項も分けます。未定の出演者やロケ地を確定として書かず、候補・確認先・返答予定日を残します。会議では意見の数だけを数えず、「変更必須」「比較案を見たい」「現案で進める」のいずれかと理由を記録すると、次の担当者へ作業を渡せます。

公開後に何を見るかも、企画段階で記します。視聴維持率を使うなら、動画のどの場面に注目するかを仮説として残せます。YouTubeの維持率の説明には、山が再視聴や共有を示す一方、内容が分かりにくく見直された可能性も挙げられています。グラフの形だけで、意図した感情が伝わったと確定しないでください。

企画書についてよくある質問

Q. 何ページあれば足りますか?

提出先が求める判断に必要な情報で決めます。概要一枚と詳細の別紙に分ける方法はありますが、必ず15〜20ページ必要という標準は置いていません。指定様式があれば、先にそれを確認してください。

Q. 数字のない企画書は通りませんか?

未確認の再生予測を入れる必要はありません。予算と日程は分かる範囲で示し、成果の目標は根拠や計測方法と一緒に置きます。類似事例の数字が、自社の達成見込みになるわけではありません。

Q. 商品は後半に出すべきですか?

登場する秒数だけでは決まりません。商品が人物の行動にどう関わるかを考え、説明のために会話が止まっていないかを台本で確認します。企画段階では、商品情報の正確さを誰が確認するかも決めておきます。

ナイトてんしょんへ企画を相談するときは、伝えたい相手、扱う商品や仕事、公開予定日、まだ決まっていない条件をお知らせください。企画から制作の範囲を相談することで、まずどこまで決めれば発注できるかを整理できます。制作内容はサービスページ、作品は実績ページで確認できます。