制作会社から台本が届いたら、商品情報が正しいか、出演者と撮影場所が見積もりの前提に合っているかを先に確認します。そのうえで、視聴者に伝えたいことと、動画を見た後にしてほしい行動を照合してください。気になるセリフを直すだけで終えると、撮影準備に関わる変更を見落とします。
この記事は、台本を受け取って承認する発注担当者向けのチェック手順です。台本の書き方とは分け、確認する7項目と、制作会社への返答例をまとめます。まだ要件を渡していない場合は、先に制作オリエンで共有する情報を整理してください。
発注者が台本で確認する7項目
台本と、発注時の説明資料・見積書を並べて読みます。「面白いか」の感想とは別に、承認前に決める条件を拾いましょう。次の順序は確認の一例です。規制のある商材や、撮影場所に制約がある案件では、その条件を先に見ます。
| 項目 | 台本で見る箇所 | 不明な場合の返し方 |
|---|---|---|
| 視聴者と目的 | 主人公の悩み、話の結末 | 誰に何を伝える企画かを再共有する |
| 商品情報 | 名称、価格、機能のセリフと字幕 | 正しい文言と根拠資料を渡す |
| 商品の見せ方 | 登場場面、持ち方、ラベルの向き | 必ず見せたい部分を指定する |
| 撮影場所と場面 | ロケーション、屋内外、昼夜 | 見積もり内で撮れる条件を確認する |
| 出演者 | 人数、役柄、衣装、必要な演技 | 追加手配と費用への影響を聞く |
| 尺と情報量 | 会話の長さ、字幕、注記 | 優先して伝える内容を決める |
| 視聴後の行動 | 最後の場面、案内文、遷移先 | 投稿先で実行できる行動かを確認する |
例えば商品ラベルを見せたいなら、「商品を登場させてください」だけでは足りません。どの場面で、どの面を、誰が持つかを制作会社と相談します。実際に必要な表示時間は、画面の大きさや演出と合わせて決めます。すべての商品を一律に3秒見せればよい、という規則はありません。
撮影場所は、台本上の場所の数と実際の移動回数が一致するとは限りません。同じスタジオでオフィスと自宅を撮る方法もあれば、1つの場所の中で大きな照明変更が必要になることもあります。「3場面なので移動が2回」と数えず、撮影する順番と準備時間を制作側に確認してください。
社内確認を整理してから制作を相談したい場合は、ショートドラマ制作サービスの案内も参照できます。未定の条件を無理に決めず、決定済みと相談したいことを分けて渡すと、見積もりの前提をそろえやすくなります。
台本の承認と、人・場所の手配を区別する
台本へのOKだけで、すべての費用と撮影日が確定するとは限りません。出演者やロケ地を先に仮押さえしている案件もあります。発注側は、台本を承認した後に何の手配が始まるか、すでに費用が発生する手配はあるかを聞いておきましょう。
台本の確認が遅れた場合も、公開日が必ず同じ日数だけずれるわけではありません。予備日で吸収できる場合もあれば、出演者や場所の空きが合わず、撮影日を大きく動かす場合もあります。変更する内容を示して、撮影日・初稿日・公開予定日への影響を確認します。納期を逆算する手順も合わせて使ってください。
撮影時間は、契約条件と現場の安全を踏まえて計画します。参考となる映適取引ガイドラインは映画制作の取り決めであり、SNS動画へ一律に適用する規則とは扱いません。同ガイドラインの撮影時間は、休憩・食事を含め原則1日11時間以内です。11時間を超える場合の翌日までのインターバルは12時間以上とされ、例外条件も定められています。準備・撤収などの作業時間とは区分が異なります。
この数値だけで「あと何シーン撮れるか」は決まりません。移動、機材準備、休憩、撤収を含めて実施可能な工程になっているかを制作会社に確認してください。
編集で変えられる箇所も、台本で確認しておく
文字として後から入れるテロップは、撮影した映像に焼き込まれていなければ編集で変更できます。ただし、商品の効能や価格などの重要な表示を、修正しやすいという理由で後回しにすると、セリフや画面構成との食い違いが残ります。
一方で、出演者が実際に話したセリフや、手で隠れた商品ラベルは、素材次第で対応が変わります。別カットへの変更、音声の録り直し、撮り直しなどの案を制作側に確認します。「撮影後は絶対に直せない」「編集なら必ず直る」と決め付けず、必要な素材と費用を確かめることが大切です。
台本に問題がなければ、絵コンテや仮の画面でも確認します。縦型動画の表示領域は投稿先や掲載方法で異なるため、画面下の一定割合を避ければ済むとは限りません。字幕、商品、注記と、投稿画面のボタンや説明文が重ならないかを、予定する掲載先に合わせて確認してください。
音を出さずに見た場合も、商品の説明や登場人物の関係が追えるかを確認します。情報がセリフだけに集まっていれば、字幕や画面の動きで補う方法を相談します。台本を声に出して読み、注記を表示する時間まで含めて尺に収まるかを確かめると、紙面では気付きにくい詰め込みも見つけやすくなります。
表現と使用条件の確認担当を決める
商品説明の正確さ、広告であることの表示、楽曲や出演者の使用条件は、担当者を決めて確認します。医療や金融など、扱う商材によって必要な確認が変わる場合は、社内の専門部署にも台本を共有してください。
消費者庁は、一般消費者が事業者の広告だと判別しにくい表示を、ステルスマーケティング規制の対象として説明しています。規制対象となるのは、商品・サービスを供給する広告主である事業者です。具体的な表示方法は、誰のアカウントで、どのような関係で投稿するかに応じて確認します。「PR」という文字を一か所足すだけで、すべての条件を満たすとは扱いません。消費者庁の説明を参照してください。
使用予定の楽曲が決まっている場合は、投稿先、広告利用の有無、別媒体への転用を伝えて可否を確認します。出演者についても、利用媒体と期間を制作会社へ共有します。詳しい確認項目は商用音源の選び方と出演者契約・二次利用に分けています。
台本には、確認済みの項目と確認待ちの項目を残します。制作担当が商品情報まで承認したことにしたり、商品担当の確認を出演者の使用許可とみなしたりしないよう、何を誰が見たかを区別しましょう。
修正は、箇所・理由・希望する状態で返す
「もっとインパクトを」という返答だけでは、演技、構成、画面のどこを変えるかが伝わりません。例えば「2ページの商品の説明は、現在販売していない仕様になっています。添付の商品資料の文言へ変更してください」と書けば、対象と修正理由がそろいます。
事実の訂正と演出の相談は分けて渡します。商品名の誤りは正しい表記を示し、テンポの相談なら「採用向けなので、仕事内容が分かる会話を残したい」と、残したい内容を伝えます。演出方法まで発注側で決められないときは、目的を示して制作側へ案を求めてください。
複数の部署が見る場合は、窓口担当がコメントをまとめます。「場面を削る」と「その場面で商品を大きく見せる」が同時に届いたら、先に社内で優先順位を決める必要があります。決定していない意見は、確定した修正指示と分けて共有しましょう。
当社が自社向けに用意した脚本確認ツールでは、版ごとにコメントを付け、次の版にも未解決の指摘を引き継げるようにしています。文章が変わって位置を移せない指摘も、確認が必要な項目として残す設計です。確認担当が変わっても、まだ判断していない点を見失わないための仕組みです。
承認の返答には、台本の版番号と、残っている確認事項を付けます。法務確認が終わっていないのに「すべてOK」と返さず、どこまで準備を進めてよいかを制作会社と合意します。初稿映像への返答は修正依頼の出し方を参照してください。
よくある質問
Q. 台本の確認には何分必要ですか?
台本の長さと、商品・表現の確認範囲によって変わります。一律の所要時間を決めるより、誰の承認が必要かを先に整理し、制作会社と返答期限を合意してください。
Q. 修正は何回まで無料ですか?
契約や見積もりの範囲によります。含まれる回数に加え、承認後の構成変更、商品情報の差し替え、撮影条件の追加をどう扱うか確認します。
Q. 自社で書いた台本を渡してもよいですか?
支給台本に対応できるかを制作会社へ確認してください。対応できる場合も、出演者、場所、尺などが撮影条件に合うかを確認してから進めます。
Q. 台本が想定と違った場合はどう戻しますか?
発注時の要件と違う点、要件に書いていなかった希望を分けて整理します。全面改稿が必要か、場面ごとの修正で対応できるかを制作会社と相談してください。
ナイトてんしょんでは、ショートドラマの企画・台本から撮影・編集までのご相談を受け付けています。台本がある場合は、利用目的と公開予定を添えてお問い合わせください。
参考資料:映適「映適取引ガイドラインについて」、消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反です」(2026年10月7日確認)。