動画を受け取ってから公開するまでに、まだ決まっていないことが3つあります。誰が投稿するのか、どの設定で入稿するのか、いつ出すのか。制作の見積もりには入っていない作業なのに、公開日には必ず誰かがやることになります。

弊社が実際に見てきたのは、動画は仕上がっているのに公開まで2週間空く、という止まり方です。原因はたいてい同じで、社内のどのアカウントで出すかが決まっていない、あるいは投稿できる権限を持っている人が別の部署にいます。この記事は、納品データを受け取ったあとの分担と手順を、渡す側の立場から整理したものです。受け取る中身そのものは動画制作の納品データで受け取るもの|検収チェックの見方、そこまでの工程は【2026年版】ショートドラマ制作の納期・スケジュール完全ガイドにまとめています。

納品から公開までに残っている3つの決めごと

制作の工程表は「納品」で終わります。ところが発注者側の仕事は、そこから公開日までもう少し続きます。残っているのは次の3つです。

確認するポイント 投稿の担当・形式・日程まで決める 担当 どのアカウントで誰が操作 入稿 比率・尺・カバー・字幕・音 日時 初回と次回の公開日
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納品後に残る3つ。どれも発注のときに決められる

担当

どのアカウントで出すか、誰が操作するか。決めていないと権限待ちで止まる

入稿

比率・尺・カバー画像・字幕・音の扱い。公開直前の書き出し依頼が起きる

日時

初回をいつ、次をいつ出すか。決めないと1本ずつ単発で消えていく

オリエンで「投稿はどちらがやるか」を一行入れておくだけで、納品後の空白が消える

決めること中身決まっていないと起きること
担当どのアカウントで出すか、誰が操作するか公開が権限待ちで止まる
入稿比率・尺・カバー画像・字幕・音の扱い公開直前に書き出しの追加依頼が発生する
日時初回をいつ出すか、次をいつ出すか1本ずつ単発で消えていく

3つとも、公開の当日ではなく発注のときに決められます。オリエンの時点で「投稿はどちらがやるか」を一行入れておくだけで、納品後の空白が消えます。渡す情報の整理はショートドラマ制作のオリエンで渡す情報|仕上がりを左右する5つで扱いました。

公開前の準備を進めるスタッフ

投稿の担当は3つのパターンに分かれる

「制作会社は作るところまで」と決まっているわけではありません。実務では次の3つに分かれます。

パターン向いている場合気をつける点
自社で投稿する(納品のみ)単発のPR動画。社内にアカウント担当がいる入稿の設定と公開日の判断も自社に残る
制作会社が投稿まで行う継続運用。投稿頻度が週1本以上アカウントの権限をどう渡すかを先に決める
予約まで制作会社・公開は自社社内承認が必要な業種、初回の数本押す人の不在日を先に共有しておく

弊社が発注者に勧めているのは、3つ目から始める形です。制作会社が予約投稿とキャプションまで用意し、最後の公開だけ自社の担当者が確認して押す。運用の型が固まったところで2つ目に移す、という順番にすると、社内の不安と実務の速さが両立します。

もう一点、権限の渡し方には決まったやり方があります。アカウントのIDとパスワードを共有するのではなく、ビジネス向けの管理ツール側で権限を付与する形にしてください。パスワードを配ると、担当者の異動や退職のたびにログインできなくなり、二段階認証の確認コードが誰の端末に届くのかも分からなくなります。実際、前任者の個人端末でしか認証が通らないアカウントを引き継いで、投稿できないまま数週間過ごした企業を見たことがあります。依頼先の選び方はショートドラマSNS運用代行 完全ガイド(依頼前のチェックリスト)にまとめました。

入稿でつまずくのは、書き出しより設定

ファイルさえあれば投稿できる、とは限りません。手が止まるのは決まって設定のところです。

カバー画像(サムネイル)を誰が決めるか。 動画から自動で選ばれた1コマがそのまま表紙になると、目をつぶった顔や暗転のカットが並ぶことがあります。納品時にカバー用の静止画を切り出してもらえば、この事故は起きません。納品範囲の話なので、検収の時点で確認しておくと確実です。

媒体ごとの条件を公開週に調べない。 YouTubeのヘルプでは、ショート動画として扱われる条件のひとつとして最大3分までの長さが案内されており、アップロードできる最大解像度は1080pとされています(出典: YouTube ショートの作成 - YouTube ヘルプ・2026-09-02参照)。予約投稿に対応しているか、外部ツールの連携が要るかは媒体ごとに違い、仕様も変わります。公開週に初めて調べると、たいてい間に合いません。

字幕を焼き込むか、媒体の自動字幕に任せるか。 焼き込みの場合、画面下部のUIやコメント欄と重なる位置に文字が来ていないかを、実機で確認してください。パソコンの大きな画面では気づけません。

音が出ない前提で成立するか。 移動中の視聴では音を切っている人が一定数います。無音でも意味が通るテロップになっているかは、公開前に一度、音を消して通しで見れば分かります。

キャプションとPR表記は、発注者側の責任範囲

動画本編は制作会社が作りますが、投稿に添える文章は発注者の名前で出ていきます。ここは分担を曖昧にしないほうがいい領域です。

とくに広告表記は、法令上の責任の所在がはっきりしています。消費者庁は、ステルスマーケティング規制について「規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません」と説明しています(令和5年10月1日施行。出典: ステルスマーケティングは景品表示法違反です|消費者庁・2026-09-02参照)。第三者のアカウントで出す企画では、PR表記を入れるかどうかを制作会社の判断に委ねず、発注者側で決めて指示してください。

キャプションそのものについては、公開直前に書き始めないことをお勧めします。弊社の運用では、キャプションと最初のコメントは台本と同じタイミングで作ります。動画を見終えた人に何をしてほしいのかは企画の一部で、あとから足す文章ではないからです。媒体ごとの設計はInstagramリール攻略2026|アルゴリズムと伸びる投稿設計で扱っています。

公開日と時間は「次の1本」から逆算する

「何曜日の何時が正解か」という質問をよく受けます。答えを先に言うと、1本目の曜日と時刻に正解はありません。決めるべきなのは、1本目ではなく2本目をいつ出すかです。

配信面の選び方には目安があります。総務省の令和7年度の調査では、主なサービスの利用率はLINE 92.9%、YouTube 81.5%、Instagram 54.8%、X 44.7%、TikTok 36.7%と報告されています(令和8年6月26日公表。出典: 令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査|総務省・2026-09-02参照)。利用率が高い面ほど、届く人数の上限は大きくなります。ただし数字の大きさだけで面を選ぶと、自社の商材と噛み合わない場所に投稿が積み上がります。

弊社の運用で決めているのは次の2点です。金曜の夜に1本目を置かない(反応を見て手を打てるのが月曜になるため)。そして、公開の時点で2本目の公開日を決めておく。1本ずつ様子を見ながら出すと、間隔が空いて前の1本の反応がリセットされます。数字をどこで見るかは【2026年版】ショートドラマPR/広告のROI・KPI完全ガイドにまとめました。

スマートフォンで投稿の反応を確認する様子

公開直後にやること、やらないこと

公開ボタンを押したあとの数日で決めておくことがあります。

コメントの窓口を先に決めてください。誰が返すのか、どこまで返すのか、返さない基準は何か。動画が伸びた日ほど、ここが決まっていないと社内で慌てます。

そして、伸びなかったからといって動画を削除しないでください。差し替えや再投稿は最終手段です。投稿を消すとURLが変わり、それまでの再生数もコメントも消えます。表記の誤りで差し替えが必要になる事態を避けるために、検収の段階で社名・価格・URLを確認しておくわけです。

初速だけで良し悪しを決めないことも、あらかじめ合意しておく項目です。何日目の数字で判断するのかを公開前に決めておくと、公開翌日の朝に「思ったより伸びていない」という報告だけが飛び交う状態を防げます。うまくいかなかった1本も、どこで離脱されたかが分かれば次の企画の材料になります。数字が出そろったあとの話し合い方は動画公開後の振り返り会|制作会社と話す議題と社内報告にまとめました。

納品までにするか、運用まで任せるか

最後に、どこまでを外に出すかの判断軸を3つ挙げます。

投稿の頻度。月に1本なら自社で回せます。週に2本以上を続けるなら、社内の誰かの業務時間がまとまって消えます。

アカウントの主体。自社の社員が顔を出すアカウントなら、投稿の細かい判断は社内に置いたほうが速く進みます。作品としてのショートドラマを連載する形なら、企画から投稿までを一続きにしたほうが精度が上がります。

社内の当番。担当者が1人だと、その人の休みと繁忙期にそのまま止まります。運用を任せる判断は、能力の問題ではなく、止まらない体制を作れるかどうかの問題です。

立ち上げの手順は企業SNS運用の始め方完全ロードマップ、少ない本数から試す方法はショートドラマ「まず数本だけ」お試し発注ガイドにまとめています。

よくある質問

Q. 動画の投稿まで制作会社に頼めますか。 頼めます。ただし、投稿はSNS運用の一部なので、単発の制作費とは別の契約になるのが一般的です。弊社の場合は、投稿・キャプション・コメント対応まで含む運用の形と、納品までの制作だけの形を分けています。

Q. アカウントのパスワードを渡す必要がありますか。 渡さない形をお勧めします。各媒体のビジネス向け管理ツールで、外部のパートナーに権限だけを付与できます。この形なら、契約が終わったときに権限を外すだけで済みます。

Q. 公開後に動画を差し替えられますか。 動画そのものの差し替えはできない媒体がほとんどで、実質は削除と再投稿になります。それまでの再生数とコメントは戻りません。表記の誤りは公開前の検収で潰しておくのが確実です。

Q. 何曜日の何時に投稿するのが正解ですか。 正解の時刻はありません。同じ商材でも、アカウントごとに見られる時間帯が違います。数本出したあとに自社の管理画面で反応が集まる時間を確認し、そこに合わせるほうが早く答えが出ます。


縦型のショートドラマ制作と、公開後の運用までを含めたご相談はショートドラマ制作サービス、投稿と運用の体制づくりはSNS運用代行サービスをご覧ください。ご相談はお問い合わせからお願いいたします。

弊社は年間再生回数1億5,000万回を超えるアカウント運用の中で、納品後の1週間の動き方が、その後の伸び方を左右する場面を何度も見てきました。投稿の分担は、公開日ではなく発注のときに決めておく項目です。

参考にした資料