ショートドラマを始めると決めたあと、意外と時間を取られるのがこの一問です。今ある公式アカウントに投稿するのか、動画専用のアカウントを新しく作るのか。社内で意見が割れて、制作が始まってからも決まらないまま撮影日が来る、ということが起きます。
先に結論を書きます。分かれ目は投稿の中身ではなく、届けたい相手が今のフォロワーと同じかどうかです。同じなら足す、違うなら分ける。この一問に答えられれば、あとの論点はほぼ自動で決まります。
アカウント構成から相談したい場合はお問い合わせください。運用の委託範囲はSNS運用代行の費用と委託範囲の決め方、開始直後に決めることはSNS運用代行のキックオフにまとめています。
「公式に足す」を既定にしてよい理由
まず、既存の公式アカウントに足すほうが既定です。フォロワーがゼロから始まらない、運用の窓口が1つで済む、社内の承認経路も既にある。新設に比べて、始めるまでの障害が少ない。
うまくいくのは、動画で来てほしい人と、今フォローしている人が重なっている場合です。既存顧客に商品の使い方を伝える、既にブランドを知っている人にキャンペーンを届ける。こうした用途なら、足すほうが速く、コストも低く済みます。
問題は、多くの企業が「知られていない層に届けたい」からショートドラマを始める点です。この時、既存のフォロワーは取引先や既存顧客、採用の応募者など、すでに自社を知っている人で構成されています。届けたい相手と、今いる人が違う。
新設は不利ではない
「ゼロから始めるのは不利だから、フォロワーのいる公式に足したい」。この理由で足す判断をしているなら、前提を確認してください。
TikTokは推薦の仕組みを公開しており、フォロワー数も、そのアカウントが過去に高い再生を出したかどうかも、おすすめに出すかどうかの直接の要因ではないと明記しています(TikTok Newsroom「How TikTok recommends videos #ForYou」 2026-09-11参照)。判断に使われるのは、その動画を見た人の反応と、動画そのものの情報です。
Instagramも、リールは「フォローしていない人にも届く」設計で、再シェアや最後まで見られたかを重く扱うと説明しています(Instagram「Instagram Ranking Explained」 2026-09-11参照)。
つまり、新設アカウントの1本目と、フォロワー1万人のアカウントの1本目は、同じ土俵で評価されます。新設が不利になるのは「フォロワーに向けた投稿」をした時だけです。おすすめ経由で伸ばす前提のショートドラマでは、この不利は小さい。
逆に言うと、既存の公式に足しても、フォロワーがいるから伸びるわけではありません。フォロワー数を理由に足す判断をするのは、両方向で根拠が弱いことになります。
分けるかどうかを決める3つの問い
判断は次の順で立てます。
詳しい条件・補足を読む
判断
届けたい相手が今のフォロワーと違うなら分ける
動画で届けたい相手は、今のフォロワーと同じか
はい
公式アカウントに足す
窓口が1つで済む。既存顧客向けの告知・使い方はこちら
いいえ
専用アカウントを新設する
おすすめ経由で届く前提なら、フォロワー0の不利は小さい
頻度とトーンが両立しない/止まったとき全部止まると困る、も分ける理由になる
最初の一問。ここが決まれば、残りの論点はほぼ自動で決まる。
ひとつめが上の図の問いです。届けたい相手が今のフォロワーと違うなら分けます。同じアカウントで別の相手に向けた投稿を続けると、既存フォロワーの反応が鈍り、届けたい層にも中途半端に届く状態になります。
ふたつめは、投稿の頻度とトーンが今の運用と両立するかどうか。ショートドラマは連続で出して育てる形式です。月2回の告知しか出していないアカウントに週2本のドラマを足すと、既存の投稿が流れて見えなくなります。ここで無理が出るなら分けます。
みっつめは、止まったときに全部が止まってよいかどうかです。アカウントは削除や停止で止まることがあります。1つに集約している状態は、止まった瞬間に接点がゼロになる状態と同じです。止まり方と対処は企業アカウントが止まったときにまとめました。
3つのうち1つでも「分ける」に振れるなら、分けたほうが後で楽になります。逆に3つとも「足す」で通るなら、新設する理由はありません。
分けると、何が増えるか
分ける判断をする前に、増える手間を見ておきます。ここを見ないまま新設して、半年後に放置アカウントになるのがよくある終わり方です。
増えるのは投稿の本数ではなく、運用の窓口の数です。動画を1本追加で作るコストより、日々の確認が2系統に分かれることのほうが重くのしかかります。
詳しい条件・補足を読む
分けた場合
増えるのは本数ではなく、運用の窓口の数
投稿の予約と公開
時間帯も文面もアカウントごとに別で決める
コメントとDMの確認
返信ルールも2本立てになる
権限の管理
誰がどちらに入れるかを最初に決める
月次の数字の確認
比較の基準が違うので同じ表に並べにくい
制作を外注していても、社内側の確認は2つ分に増える
新設で増えるのはここ。引き受ける人がいないと半年で止まる。
誰がどのアカウントの権限を持つかも、最初に決める必要があります。権限の渡し方と回収の手順はSNSアカウントの権限管理を参照してください。店舗や支社が複数ある場合は、そもそもアカウントを店舗ごとに分けるかという別の論点が重なります(多店舗のショートドラマ運用)。
当社が運用をお預かりする場合も、アカウントを分けるなら投稿と数字の管理は2本立てになります。制作の本数が同じでも、確認の手数は単純に増えます。これを引き受けられる体制があるかどうかが、実際の分かれ目になることは少なくありません。
あとから変えられるか
「とりあえず公式に足して、伸びたら分ける」という案が社内から出ることがあります。結論から言うと、分ける方向への移行は作り直しに近いです。フォロワーは移せません。新しいアカウントは、また1本目から始まります。
逆方向、つまり専用アカウントをやめて公式に集約するほうは、比較的いつでもできます。専用側の投稿を止め、公式で続ければよい。
この非対称があるので、迷ったときは分けておくほうが選択肢を残せます。ただし、分けた結果どちらも中途半端に止まるくらいなら、1つに集中させたほうがいい。運用に割ける人の数で決めてください。
まとめ
判断の順番は3つです。届けたい相手が今のフォロワーと違うなら分ける。投稿の頻度とトーンが既存と両立しないなら分ける。止まったときに全部止まると困るなら分ける。
そして、フォロワー数を理由に既存アカウントへ足すのはやめてください。おすすめ経由で届く仕組みでは、フォロワー数は直接の要因になっていません。判断すべきは、その動画を誰に届けたいのか、それを運用できる人が社内にいるかどうかです。
ショートドラマを軸にしたSNS運用では、年間1億5,000万回を超える再生を作ってきました。アカウント構成から運用体制まで含めて相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。
参考
- TikTok Newsroom「How TikTok recommends videos #ForYou」(2026-09-11参照)
- Instagram「Instagram Ranking Explained」(2026-09-11参照)