SNS用の縦型と、商談で見せる横型を一緒に作りたい。発注前に決めるのは、両方の画面に何を残すかです。人物の顔だけでよいのか、隣にいる相手の反応や手元の商品まで必要なのか。その答えで、同じ素材から切り出すか、カメラを分けるか、向きを変えて撮り直すかが変わります。

依頼書には「縦横対応」とだけ書かず、縦版と横版の掲載先、尺、画面サイズ、必ず映すものを別々に記入してください。制作会社には撮影方式と、各版を完成させる編集作業まで見積もってもらいます。撮影日が同じでも、完成動画を作る作業は残る。

この記事は、これから撮る動画を縦横セットで発注する担当者向けの手順提案です。完成済み動画の転用可否は動画の使い回し、納品時の確認項目は納品データの検収で扱います。YouTubeの仕様は2026年9月17日に公式ヘルプで確認しました。

最初に、縦版と横版の納品一覧を作る

掲載先ごとに完成形を書く

「SNSとWebで使う」だけでは、撮影する画面を決めきれません。Webページの中でも、横長のヘッダーへ入れるのか、縦動画をそのまま埋め込むのかで必要な形が違います。掲載場所のURLや画面見本を制作会社へ渡し、動画が表示される範囲を確かめます。完成動画の縦横比と、ページ上で表示する枠の比率を両方書くと、撮影側とWeb担当者が同じ条件を見られる。

YouTubeでは、パソコンの標準アスペクト比は16:9ですが、プレーヤーは動画のサイズに合わせて調整されます。「YouTubeに出すから横型しか使えない」と決める必要はありません。動画そのものへ余白や黒帯を加えることについても、YouTubeは自動調整を妨げるため避けるよう案内しています。YouTube公式・動画の解像度とアスペクト比を確認し、表示先ごとに仕上げを決めましょう。

「同じ話」と「同じ編集」を分けて指定する

同じ商品を紹介しても、SNSで短く見せる版と、商談で説明する版では必要なカットが変わる場合があります。縦横比だけを変えるのか、尺、冒頭、字幕、最後の案内も変えるのかを先に決めてください。後者なら、各版の構成を作る工程も必要です。まず主に使う版を指定し、もう一方で省いてよい情報と、必ず残す情報を書き出します。

下表は発注条件を整理するための記入例です。実案件の仕様や、全媒体に共通する推奨値ではありません。「同じ台本で縦横の完成動画を各1本」という条件でも、横版だけに操作画面を足すなら、その素材の用意と編集の範囲を追記します。どこまでが共通作業なのかが見えれば、制作会社の説明と見積書を照合しやすくなります。

決める項目縦版の記入例横版の記入例
掲載場所SNS投稿の縦画面商談資料内の横画面
完成サイズ1080×19201920×1080
30秒60秒
必ず映すもの顔と手元の商品顔、商品、操作画面
字幕セリフと商品名セリフと操作説明
終わりの案内プロフィールへ担当者へ相談

撮影条件が固まる前でも、掲載先の画面見本とこの一覧があれば相談を始められます。ショートドラマ制作の相談では、主に使う版と追加で必要な版を伝えてください。

同じ素材から切り出すか、別に撮るかを選ぶ

関係を整理 残す情報で、撮り方を選ぶ 必要な映像 撮影方式の候補 狭い枠に収まる 同じ素材を切り出す 同じ瞬間を残す カメラを分ける 立ち位置も変える 別テイクを撮る
候補を選び、実際の構図と撮影条件で確かめます。

切り出しは、重要なものが狭い枠に収まるかで判断する

横長の映像の一部を選んで縦長にする方法が、切り出しです。出演者が中央で話し、商品もその近くにある場面なら、同じ素材を使う候補になります。ただし、人物を中央へ寄せるだけで十分とは限りません。腕を広げる動き、商品を持ち上げる瞬間、隣の人物の反応まで、必要な情報が全編を通して残るかを確認する必要があります。

想定例として、机の左右に座る2人が商品を受け渡す場面を考えます。横版では2人の顔と机が同時に映る一方、縦版に切ると片方の表情が枠外へ出ることがある。相手の表情がオチに必要なら、話している人だけを追っても同じ話になりません。縦版用に人物の位置を変える、受け手の寄りを追加する、といった案を撮影前に比較します。

カメラを分ける方法と、テイクを分ける方法

ここでいう同時発注には、同じ演技を複数カメラで収録する方法と、同じ日に向きを変えて別テイクを撮る方法も含めます。複数カメラは同じ瞬間を残したい場合の候補です。ただし、互いのカメラやスタッフが映り込まない配置、目線、照明の調整が必要になります。カメラが増えれば自動的に良い素材がそろう、という前提では発注できません。

別テイクでは、縦用と横用で立ち位置や手元の動きを変えられます。その代わり、演技を繰り返す時間や、商品の状態を元へ戻す準備も検討します。たとえば開封前の商品が必要なら、撮り直しに使える数を用意するか確認してください。必要な商品や小道具の準備は撮影で発注側が用意するもの、当日の確認担当は撮影の立ち会いへつながります。

4K撮影でも、切り出し後の画面を確認する

残る画素数は完成サイズと照合する

「4Kで撮るので縦横どちらも大丈夫」という説明を受けたら、撮影サイズと切り出し後のサイズを聞きます。YouTubeの公式資料が示す16:9の4Kは3840×2160です。この映像の高さ2160をそのまま使い、9:16で縦に切り出す単純な計算では、残る幅は2160×9÷16=1215画素になります。元の横幅3840を全部使えるわけではありません。

これは拡大、手ぶれ補正、回転、追加トリミングを行わない場合の幾何学上の試算です。1215×2160から1080×1920へ縮小できる寸法でも、ピントや動きのぶれまで保証するものではない。制作会社には、予定する処理をかけた短いテスト映像を、納品サイズで見せてもらいます。元の寸法はYouTubeの解像度一覧に基づき、切り出し後の値は本記事で計算しています。

自動リフレームの結果も通して再生する

主要な編集ソフトには、被写体の動きを検出して別の縦横比へ自動で追従させる機能があります。横版の素材から縦版を起こせるか相談するときは、この機能で作った短い試作を先に見せてもらうと判断が早い。ただし当社では、自動追従で書き出した版も必ず全編を納品サイズで通し再生し、外れた場面だけ手で構図を直してから納品しています。

通し再生で見るのは、人物を追った結果として商品が枠の外へ出ていないか、会話の場面で聞き手のリアクションが切れていないか、画面に出す文字が動いた被写体と重なっていないかの3点です。人物を追えていることと、伝えたいものが残っていることは別に確認します。物語に必要な対象を撮影前に指定しておけば、編集後の確認基準にもそのまま使えます。

掲載先の条件も、変換してからではなく構成の段階で押さえます。YouTubeショートは縦向きの動画をアップロードでき、長さは最大3分です(YouTube公式ヘルプ・2026年9月17日確認)。縦版の尺が上限に収まるか、横版から削る場面はどこかを先に決めておくと、切り出しの手戻りが減ります。

見積もりは撮影と各版の編集に分ける

同じ軸で比較 撮影と各版の仕上げを分ける 工程 共通作業の候補 各版の確認 企画 商品・台本 尺と必須カット 撮影 場所・出演者 画角・別テイク 編集 元素材 構成・字幕 納品 受け渡し方法 書き出し・検品
共通化できる範囲は見積もりで確認します。

追加費用が発生する条件を作業名で聞く

両比率に使える素材が撮れた場合でも、縦版と横版の編集、字幕の配置、書き出し、検品が見積もりに含まれるかを確認します。追加料金の有無は発注条件次第です。「撮影は1回」という条件だけで、全作業が同額になるとは判断できません。カメラの追加、別テイク、商品カットの追加、各版の修正対応を項目に分けて説明してもらいましょう。

見積書を比べるときは、先ほどの納品一覧を全社へ同じ形で渡します。横版を参考用の書き出しとして出す提案と、横版専用の構成まで作る提案は、成果物が異なります。総額の差を評価する前に、どの作業を買うのかをそろえる。共通する読み方は動画制作の相見積もりに整理しています。本記事では縦横対応の一律料金や値引き率は示しません。

見積もりの箇所確認する内容
撮影設計両比率の絵コンテ・画角テストを含むか
撮影機材カメラ追加と周辺機材の範囲
撮影時間別テイクと準備の時間を含むか
構成・編集同じ編集の変換か、各版を組み直すか
字幕・ロゴそれぞれの画面への配置調整
書き出しサイズ、尺、字幕の有無ごとのファイル数
修正・検品縦版と横版の両方を確認する範囲

保留中の用途は、見積もりの条件として残す

横版を使うか決まっていない場合は、素材を確保するところまでと、横版を完成させるところまでを分けて見積もってもらいます。いつ追加編集を頼めるのか、素材の保管期間や受け渡し条件も確認してください。後日いつでも同じ条件で再編集できると想定すると、素材が残っていない、別の担当者では作業を再開できないといった行き違いにつながります。

また、撮影した素材を複数の媒体で使う予定は、発注時に制作会社へ伝えておきます。掲載場所、広告利用の有無、使用期間は、撮影方式を決める話とは別に確認が必要です。詳しい確認項目は出演者契約と二次利用を参照してください。未決の用途がある場合も、その存在を知らせたうえで、今回の契約に含める範囲を決めます。

撮影前のテストと納品時の確認をつなぐ

流れをつかむ 残す情報を、公開まで確かめる 1 発注前 縦横の納品一覧 2 撮影前 動きも含め画角テスト 3 納品時 各版を全編確認 4 掲載時 実際の表示枠で確認

同じ場面を縦と横で見せてもらう

絵コンテやテスト映像は、同じ場面の縦版と横版を並べて確認します。顔だけが入っている静止画で判断せず、商品を渡す、画面へ近づく、振り向くなど、台本にある動きも確認してください。動きの途中で必要なものが枠外へ出るなら、その場面だけ撮り方を変える候補です。全編を別撮影にするかどうかを先に二択で決める必要はありません。

発注者が判断するのは、商品の見せ方と伝える情報です。カメラ設定の正解を発注者だけで決める必要はなく、撮影担当には納品条件を満たす方式を提案してもらいます。確認したテストには、縦版で残すもの、横版で追加するものを書き添えておく。そのメモを編集と検品にも渡せば、後から担当者が変わっても何を優先したかが分かります。

最後は字幕と掲載枠まで確認する

完成動画では、画面の端に商品名が寄っていないか、字幕が人物の口元や手元を隠していないか、最後の案内が読めるかを各版で確認します。発注者の社内チェックが横版だけで終わると、縦版の文字が小さい、商品が切れているといった違いを見逃します。納品一覧の各行に確認担当と確認日を残し、全ファイルを対象にしてください。

掲載担当には、実際に置くページや投稿画面での表示確認も依頼します。ファイル自体が正しくても、掲載枠で一部を切って表示する設定なら見え方が変わるためです。公開方法の分担は動画の投稿は誰がやるかへ。撮影前に残すと決めた情報が、掲載後にも見えているかまでを確認の終点にします。

よくある質問

Q. 縦型と横型を同じ日に撮影できますか?

同じ日に撮る計画は立てられます。同じ素材からの切り出し、複数カメラ、向きを変えた別テイクのうち、必要な情報が両方の画面に残る方式を制作会社と選んでください。実施できる範囲は構図と撮影時間などの条件で確認します。

Q. 横型を切り出せば縦型も同じ画質になりますか?

切り出す範囲の画素数は元映像より少なくなります。撮影サイズと切り出し後の寸法を納品サイズに照合し、ピントや動きも含めて実際の書き出し映像を確認してください。

Q. 縦横セットなら追加費用はかかりませんか?

追加費用の有無は見積もりの範囲によります。撮影が同じ日でも、カメラ追加、別テイク、各版の構成、字幕配置、書き出し、検品が含まれるかを確認してください。

Q. 自動リフレームに任せれば確認は不要ですか?

変換後の再生確認を工程に入れます。人物の動きを追えていても、商品、相手の反応、字幕など、伝えたい情報が両方の画面に残っているかを確認する必要があります。


縦横の完成形をそろえて制作を相談する

ナイトてんしょん(当社)への相談では、掲載先、縦横それぞれの尺、必ず映したい商品や場面をお知らせください。自社SNSの年間再生回数1億5,000万回越えの制作活動を背景に、ショートドラマの企画・制作を行っています。縦横対応の方式や見積もりの範囲は、個別の条件を確認して相談を進めます。

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