SNS運用の担当者が変わるときは、権限・進行中の制作物・過去の判断・指標の定義・窓口・契約を引き継ぎます。まず後任が必要な画面と資料を開けることを確認し、未承認の動画には判断する人と期限を付けてください。
この記事は、委託先を変えず、社内担当が交代する場合の手順です。制作会社を変更する場合は会社変更時の引き継ぎ、権限の設定方法はSNSアカウントの権限管理も確認してください。
引き継ぐ六つの項目
資料を渡しただけでは、後任が作業できるか分かりません。各項目について、保存先を開く、進行状況を説明する、必要な担当へ連絡するところまで一緒に確認します。
アカウントの権限と通知
後任が自分のアカウントで必要な画面に入り、投稿・分析・返信などの担当作業を行えるか確認します。YouTubeのチャンネル権限のように役割別のアクセスを付与できる場合は、担当業務と機能を照合します。媒体ごとに仕組みが異なるので、役割名を横並びで同じ意味にしないでください。(2026年10月13日確認)
管理者が誰か、二段階認証や復旧時に誰へ連絡するか、停止・削除などの通知を誰が見るかも残します。パスワードや認証コードを引き継ぎ表へ直接書く必要はありません。会社が決めた安全な管理方法を使ってください。
進行中の動画と公開予約
企画・台本・撮影・編集・承認・公開のどこにあるかを一覧にします。動画の管理番号、最新版の保存先、未決事項、判断者、回答期限、公開予定を対応させます。制作会社が工程表を持っている場合は共有を依頼し、社内の承認記録と照合してください。
未承認の台本を、引き継ぎのためだけに前任者が急いで承認する必要はありません。後任や代理担当へ判断の範囲を渡し、確認が済む日と公開予定を調整します。予約投稿も、公開前に条件や価格が変わる可能性がないか確認します。
過去の判断とその根拠
採用した案と、採用しなかった案の両方について、理由と根拠資料を残します。「社員の出演は今回見送った」なら、本人の希望なのか、撮影日程なのか、会社方針なのかで次の判断が変わります。すべてを恒久的な禁止ルールへまとめないでください。
架空の記入例なら「企画Aは撮影場所の確保ができず見送り。企画そのものは再検討可」「企画Bは商品の条件説明が未確認。商品担当の回答後に再提出」のように書けます。決定日と決めた担当、見直す条件まで残すと、後任が同じ確認を始める際の手がかりになります。
広告表示の扱いも引き継ぎます。消費者庁のステルスマーケティングに関するQ&Aを確認し、どの投稿について、どの関与・表示条件を検討したかを記録してください。過去の承認を、用途が変わった動画へそのまま流用しないようにします。
指標の定義と比較期間
レポートの数字には、媒体、対象期間、取得日、広告の有無、指標の意味を添えます。再生数、サイト訪問、問い合わせボタンのクリック、実際に届いた相談は別々に記録してください。後任が目標を引き継ぐ際は、なぜその指標を選んだか、何が未確認かも伝えます。
数字が増えた事例だけを残すと、季節や広告配信の違いを改善効果と取り違える可能性があります。比較条件が違う期間には注記を付け、月次レポートの見方で次に確認する項目を決めます。
社内と制作会社の窓口
制作会社の連絡先、定例日時、社内の承認者、担当不在時の連絡先を更新します。後任が連絡を受け取ることと、予算や表現を承認できることは別です。後任が決められない範囲は、社内の誰へ確認するかを残してください。
複数店舗を担当する場合は、本部の共通ルールと店舗ごとの確認先も分けます。多店舗の運用分担で撮影・確認・公開の役割を整理すると、一人の異動で全店舗の投稿が止まる箇所を見つけやすくなります。
契約・予算・利用期限
契約期間、発注済みと未発注の本数、支払い条件、追加修正の扱い、出演・素材の利用期限を確認します。予算が残っていても、新しい動画を同じ条件で発注できるとは限りません。契約の変更が必要かを窓口へ確認してください。
契約書は概要だけで済ませず、正本の保存先と、変更合意の記録へアクセスできるようにします。記事の一般的な説明で契約内容を置き換えず、動画制作の業務委託契約を確認項目の整理に使います。
引き継ぎは作業できることを確認してから閉じる
異動を外部へ伝えてよい時点で、制作会社に交代日と新しい窓口を知らせます。その後、進行中の案件と未決事項を整理し、後任が定例に参加して、次の回答を誰へ返すか確認します。二週間前・一週間前といった固定の期限をすべての案件へ当てはめず、交代日と公開日から必要な確認を並べます。
後任が管理画面に入れるだけで完了とはしません。担当する操作、必要な資料の閲覧、通知の受信まで確認します。旧担当者の権限は、担当終了日に合わせて解除します。本人の個人アカウント自体を削除することと、企業アカウントへの権限を外すことを混同しないでください。
不正アクセスや情報漏えいの疑いがある場合は、通常の引き継ぎを待たずに責任者へ連絡し、アクセス停止を判断します。停止通知の初動は企業アカウントの削除・制限・停止への対処で整理しています。
一覧表と根拠資料をつなぐ
一覧は入口として使い、契約、許諾、台本、承認記録、分析資料の保存先へつなぎます。「一枚あればすべて足りる」と考えず、後任が根拠を取り出せることを確認してください。
- 動画A:初稿確認中。対象商品の表示を担当者が公開前日の合意日に照合する。根拠は初稿と商品情報。
- 動画B:台本修正中。出演日を新担当と撮影前に確定する。根拠は台本と日程表。
上記は架空の記入例です。引き継ぎ当日は、後任がリンク先を開けるか確認します。閲覧できない資料には管理者と解消期限を付け、未解決のまま完了扱いにしないようにします。
よくある質問
後任がまだ決まっていないときはどうしますか?
一時的に判断する社内担当を決め、公開が近い動画と必要な権限を整理します。制作会社へ未定のまま連絡を止めず、回答窓口と次の連絡日を伝えてください。
前任者と一緒に作業する時間がありません
会社側の管理者と制作会社へ、現在の工程・保存資料・権限を確認します。資料があるとは限らないため、未取得のものは未取得として一覧に残します。過去の判断を推測で埋めず、次に公開する動画から必要な確認をやり直してください。
引き継ぎ後に方針を変えてもよいですか?
過去に決めた理由を確認したうえで、変える目的と条件を記録します。担当者が変わったという理由だけで、許諾や契約上の条件まで変わることはありません。新しい企画や利用範囲には必要な再確認を行います。
次の公開予定から引き継ぎを始める
最初に次回公開する動画を一つ選び、後任が最新版・根拠・承認者・公開設定を確認できるか確かめてください。足りないものが見えたら、残りの動画にも同じ確認を広げます。制作と運用の分担を見直す場合は、お問い合わせへ交代日と進行中の工程をお知らせください。
この記事の六つの引き継ぎ項目と記入例は、当社が制作案件の受け渡しを具体化するために作成した提案です。自社の進行中案件で資料を開き、後任が判断できるか確かめながら使ってください。