商品動画の色が実物と違って見えたら、まず制作会社と同じファイルを、合意した画面と設定で確認します。そのうえで「どの商品が、何秒の場面で、何を基準にすると違うのか」を伝えてください。担当者ごとに違うスマートフォンを見ながら色の修正を重ねると、直すべき箇所と確認環境の違いが混ざります。

この記事は、コスメ、衣服、雑貨などの商品をショートドラマやSNS動画に出す発注担当者に向けたものです。色の基準の決め方から、初稿で違和感を見つけたときの確認、納品までの分担を扱います。料金や直せる範囲は素材・契約によって変わるため、相場の断定はせず、見積もり時に渡す条件を示します。

最初に、どの比較で色が違うのかを伝える

「赤いパッケージがオレンジに見える」という連絡だけでは、制作会社はどこから確認するか決めにくくなります。実物との違いなのか、担当者同士の画面の違いなのか、公開前後の違いなのかを分けて知らせましょう。

違いに気づいた場面制作会社に渡すもの最初に確認すること
実物と動画を並べると違う商品名、該当時刻、実物を確認した場所実物の照明と、合意した色の基準
PCとスマートフォンで違う同じ動画ファイル、両端末と再生アプリ同じ版を開いているか、表示設定は何か
編集中の画面と納品ファイルで違う納品ファイル名、書き出し前の確認記録書き出しと再生時の色の扱い
ダウンロード版とSNS投稿で違う納品ファイル、投稿URL、使用端末投稿前後で差が出るか
同じ動画の途中で商品色が変わる変わる前後の時刻と商品撮影条件や編集処理が場面ごとに異なるか

これは原因を確定する表ではありません。たとえば、PCとスマートフォンで見え方が違っても、どちらの表示が制作時の基準に近いかは、その場では分かりません。確認対象を絞るための入口です。

修正指示の窓口も1人にまとめます。商品担当はパッケージ、広報担当はブランド全体の印象、出演者側は肌の見え方を気にするなど、各担当が見ている箇所は異なります。「全員が好きな色にする」という目標では承認が終わりません。誰が商品色を承認し、誰が全体の演出を承認するのかを先に決めます。

撮影前に、色を合わせる対象と基準を決める

商品のどこを優先するかを指定する

赤い箱に入った化粧品を扱うなら、箱の赤、容器の質感、中身の発色は別々の確認対象です。台本や絵コンテに商品が登場する場面を印し、その場面で何を見せるのかを書きます。箱の色を伝える接写と、登場人物が商品を手に取る引きの画では、発注側が確認したい内容も変わります。

企画段階で使える指定例は「最後の接写では、箱の赤を承認済み商品画像に近づけたい。部屋全体の夕方らしい暖かさは保ちたい」です。この指定が撮影と編集の両方で実現できるか、制作会社に確認してから進めます。完成後に初めて色の優先順位を伝えると、予定していた編集の範囲で対応できるかの再検討が必要になります。

ここに挙げる例は発注用の記入例であり、当社の顧客事例や修正効果の実測ではありません。

基準画像にはファイル名と承認者を付ける

「公式サイトの写真に合わせてください」だけで済ませず、参照する画像を指定します。同じ商品でもリニューアル前後の写真や、照明の違う写真が混在していることがあるためです。商品名・型番・色名が分かる情報と、今回の基準に使う画像をセットで渡します。

撮影に実物を渡せる場合は、発送前に制作会社へ用途を伝えます。撮影用に開封してよいか、色見本として未使用の状態を保つ必要があるか、返却が必要かも確認しましょう。梱包や受領の分担は撮影用の商品を制作会社へ送るときの確認事項に整理しています。

画面に出した画像は、実物そのものではありません。基準画像を送ったことと、双方が同じ色を確認できたことは別です。色に厳密な確認が必要な商品では、制作会社の確認環境で基準を共有する方法も相談してください。

撮影前に決める項目記入例決める担当
対象商品化粧箱A・現行パッケージ商品担当
優先箇所最後の接写に映る箱の赤商品担当と企画担当
基準資料承認済み商品画像のファイル名商品担当
演出との関係室内の暖色感は残す企画担当と制作会社
確認方法指定画面で同じ動画を再生制作会社と承認者
最終判断商品担当の承認後に公開担当へ渡す発注責任者

色番号を渡しても、すべての画面の見え方は固定できない

ブランドガイドに色番号がある場合は、そのガイドも制作会社へ渡します。ただし、ロゴの指定色と、照明の下で撮影した立体物の色は同じ確認ではありません。商品に落ちる影や光沢まで含めて、どこをそろえるかを話す必要があります。

Appleは、対応する端末のTrue Toneが周辺の光に合わせて画面の色と明度を調整すると説明しています。Apple「明るさや色温度の調整」を踏まえ、この記事では制作会社と確認する基準環境と、公開後に点検する端末を分ける進め方を提案します。視聴者全員の設定を発注側で固定することはできないためです。

色を見る画面と設定をそろえる

自動的な色調整の状態を確認する

iPhoneやiPadのTrue Toneは、周囲の光に応じて画面の色と明度を調整します。Night Shiftも画面の色温度を変える機能です。Appleはそれぞれの設定方法を公式サポートで案内しています。iPhoneやiPadで明るさや色温度を調整する

商品色を比較するときは、こうした設定が人によって異なっていないか確認し、今回のレビューで使う状態をそろえます。これは発注時の確認条件を固定するための提案です。設定をオフにするだけで画面が校正される、あるいは実物と同じ色になる、という意味ではありません。

画面の明るさも記録します。特定の明るさを全機種共通の正解にせず、承認者と制作会社で決めた条件を残しましょう。確認の途中で設定を変えた場合は、その前後の意見を同じ条件の指摘として混ぜないようにします。

基準の画面と、視聴者に近い画面を分ける

制作会社には、色を仕上げるときの確認方法を聞きます。発注側が色の基準を判断する画面を決めた後に、公開予定のSNSをスマートフォンでも確認する、という順番にします。

Appleの対応iPad Proには、映像制作やレビュー向けのリファレンスモードがあります。このモードではTrue ToneやNight Shiftなどの動的な調整が無効になります。ただし対応機種・OSなどの条件があり、すべてのiPadで使える機能ではありません。Apple「iPad Proでリファレンスモードを使う」

専用機器を持たない発注者は、制作会社が確認した内容を説明してもらい、自社端末で気になった箇所を補足として伝える方法もあります。複数の画面を確認した結果をまとめる際は、「基準画面では承認」「公開用スマートフォンでは商品ラベルが暗く感じる」のように記録を分けます。

HDRとSDRは撮影・編集・納品の条件を確かめる

スマートフォンで撮った素材は、設定も共有する

社内で撮影した動画を外注先へ渡すときは、端末名だけでなく、分かる範囲で撮影設定も伝えてください。Appleの公式資料によると、一部のiPhoneやiPadではHDR動画を撮影でき、編集や共有時にはHDR・SDRの扱いを選ぶ工程があります。Apple「iPhoneやiPadで撮影したHDRビデオを編集する」

発注担当者が専門用語をすべて判断する必要はありません。「撮ったときの設定は不明」「この端末で撮影した元ファイルがある」と伝え、制作会社に素材を調べてもらいます。相談前に自己判断で変換したファイルだけを残すと、元の条件を確認しづらくなるため、元ファイルも保管しておきます。

編集のみを依頼する場合の素材一覧や完成イメージの渡し方は、動画編集だけを外注するときの準備を参照してください。

色が薄いという感想だけで、原因をHDRに決めない

HDR素材の扱いは確認項目の1つです。画面が違う、別の版を見ている、書き出し後に見え方が変わったなど、ほかの条件も一緒に確認します。AppleのMotionの説明では、HDRを表示できないモニターに対して、明るさの範囲を表示側に合わせるトーンマッピングが行われる場合が示されています。Apple「色空間について」

流れをつかむ 差が出る段階を順に調べる 1 元素材 撮影時の設定を確認 2 編集画面 処理と表示を確認 3 書き出し 納品設定を確認 4 再生環境 同じ版と画面で比較
技術的な原因は制作会社が確認。発注側は元ファイルと、差が見える条件を渡します。

この仕組みがあることと、目の前の動画の違和感がそれに由来することは別です。制作会社には、元素材、編集時、書き出し、確認に使うプレーヤーのどの段階から差が出ているかを調べてもらいます。発注側は該当する場面と再生条件を伝え、技術的な原因が未確認のまま彩度を上げるなどの具体操作を指定しない方が、調査と修正を整理できます。

納品形式を名前だけで決めない

「MP4で納品」だけでは、色の扱いについて合意したことになりません。掲載する媒体と用途を伝え、HDRかSDRか、どの色空間を前提にするか、どの環境で検収するかを制作会社に提案してもらいます。

AppleのCompressorにも、色空間やHDRメタデータを確認・変更する機能が用意されています。書き出しには色に関わる設定がある、という根拠として参照しています。Apple「Compressorでビデオの色空間とHDRメタデータを変更する」

特定のSNSについて「この設定なら必ず同じ色になる」とは約束できません。制作会社と用途に合う設定を選び、納品ファイルと公開先での確認を工程に入れます。2026年9月25日時点の公式資料を参照していますが、アプリやOSの更新後に設定・対応条件が変わっていれば、対象環境の現行仕様を再確認してください。

修正依頼は時刻・対象・基準・残す部分を伝える

「全体をもう少し鮮やかに」という指示には、商品以外の見え方も変える余地があります。商品だけを直したいのか、作品全体の色調を変えたいのかを明記します。

以下は、発注側から制作会社に渡す修正依頼の例です。時刻やファイル名は説明用の架空の値です。

対象ファイル:商品紹介_v02.mp4。00:12〜00:16の接写に映る化粧箱の赤が、承認済み基準画像「package_A_reference.jpg」よりオレンジに見えます。確認は前回合意したPCと再生アプリで行いました。背景の暖かさと人物の肌の印象は維持したいです。商品部分の調整で対応できるか、追加作業になるかを確認してください。

この依頼文は、修正方法を制作会社が検討できる形になっています。画面に映る対象が動く、人物と重なる、ほかの場面にも出てくる場合は、対応範囲の確認が必要です。可能かどうかを素材確認前に決めつけず、まず該当カットを見てもらいましょう。

指示に残す情報書き方抜けると困ること
版ファイル名や版番号修正前の動画への指摘と混ざる
時刻開始と終了、必要なら静止画も添付別のカットを直すおそれがある
対象箱、容器、肌、背景など画面全体への指示と受け取られる
比較基準合意した画像・実物・確認環境担当者の好みだけで判断が動く
残す部分肌の印象、背景の暖色感など変えてほしくない箇所まで変わる
判断担当商品色の最終承認者修正のたびに別の意見が増える

スクリーンショットは、位置を示すための補助資料として使えます。ただし、受け取った人も別の画面で見るため、スクリーンショットだけで双方の見え方が一致したとは判断しません。元動画と時刻を併記し、基準を確認したうえで修正へ進みます。修正意見の集約方法は動画制作の修正依頼の出し方で扱っています。

初稿から納品まで、承認した条件を残す

色の方針を確認する段階を見積もりに含める

商品の接写が中心なら、全編の仕上げ前に代表カットの色を確認できるか相談します。発注側が基準を決めきれないまま全カットを仕上げるより、どこで方針を確認するかを先に定める進め方です。代表カットの提出が標準料金に含まれるとは限らないので、見積もり時に確認してください。

撮影後の修正で対応できるか、撮り直しが必要かも、素材次第です。色の違和感が見つかったら、制作会社へ確認用素材を渡し、「直せる範囲」「残る差」「費用」「確認用の再提出日」を回答してもらいます。依頼前に撮り直しが不要と約束したり、一律に編集だけで解消できると判断したりしないようにします。

商品確認と公開確認を分ける

商品担当が色を承認した後に、公開担当が別の圧縮版や旧版を投稿してしまえば、確認した動画と公開した動画が違います。最終承認したファイル名を公開担当へ渡し、そのファイルを使ったことを確認します。

流れをつかむ 承認した版を公開担当へ渡す 1 色の承認 商品担当が基準と照合 2 版の確定 ファイル名を記録 3 公開担当へ 確定したファイルを渡す 4 公開後の確認 投稿と納品版を比べる
公開先の確認は、商品色を承認した記録と分けて残します。

公開後に色の違いへ気づいた場合は、納品ファイルと投稿を同じ端末で確認します。投稿を削除するかどうかは、商品の誤認につながる程度や掲載先への対応を含めて発注責任者が判断します。原因を調べる前に制作会社へ同じ修正を重ねて依頼することは避け、差が出た段階の記録を残します。

承認記録には、確認日、ファイル名、対象商品、確認環境、承認者、残っている注意点を記します。「全体OK」という一言だけでは、後から何を確認したか追えません。納品物全般の確認は動画制作の納品データで受け取るもの、投稿担当との分担は納品後の公開までの手順につなげて確認できます。

よくある質問

スマートフォンで確認するだけでも発注できますか?

確認に使う端末と条件を制作会社に伝えて相談できます。商品色を厳密に承認する必要がある場合は、制作会社の確認環境でレビューする方法も含めて決めてください。手元のスマートフォンで好ましく見えたことだけを、ほかの端末でも同じ色になる根拠にはできません。

実物を郵送できない場合はどうしますか?

承認済みの商品画像、商品名、型番、色名、ブランドガイドなど、提供できる資料をそろえます。実物を確認できない条件でどこまで調整できるかは、制作会社に判断してもらいます。実物の確認を省いたことも、承認記録へ残します。

商品だけの色を直せますか?

素材を確認してからの判断になります。対象の大きさや動き、ほかの物との重なり、修正するカット数を制作会社に見てもらい、対応可能な範囲と費用を聞きます。短い動画だから簡単に終わるとは限りません。

色の修正は無料ですか?

契約した修正範囲と変更理由によります。事前に合意した基準から外れているのか、承認後に新しい色調へ変えたいのかを分け、見積もりと照合します。一律の無料対応や相場はこの記事では設定しません。

HDRで納品すれば色はよくなりますか?

HDRにするだけで商品色の正しさが保証されるわけではありません。素材、編集、書き出し、掲載先、再生環境を含めて決める仕様です。制作会社には、今回の用途でHDR・SDRのどちらを提案するか、その理由を聞いてください。

撮影前の打ち合わせで何を持っていけばよいですか?

対象商品と基準画像、掲載先、色を重視する場面を持っていきます。特に「この箱の色は変えたくない」「背景は演出として暖かくしたい」といった優先順位を共有すると、撮影と確認の方法を具体的に相談できます。

商品の見せ方から制作を相談する

ナイトてんしょんは、企業のショートドラマの企画・撮影・編集・運用を担当しています。商品を物語のどの場面で見せるかと、商品担当者が何を承認するかを、一緒に整理できます。

ショートドラマ制作のサービス内容を確認するか、制作について相談するから、対象商品と掲載先、気になっている色の違いをお知らせください。すでに動画がある場合は、相談時に該当する時刻も分かるようにしておくと、確認範囲を決められます。

参考資料

以下は2026年9月25日に確認した公式資料です。技術仕様の根拠として参照し、発注用の表と依頼文は本記事の提案として作成しています。

  1. Apple:iPhoneやiPadで明るさや色温度を調整する
  2. Apple:iPad Proでリファレンスモードを使う
  3. Apple:iPhoneやiPadで撮影したHDRビデオを編集する
  4. Apple Motion:色空間について
  5. Apple Compressor:ビデオの色空間とHDRメタデータを変更する