動画の修正依頼には、対象の版と時間、現在の状態、変えたい理由、修正後の確認条件を添えます。初稿を受け取ったら、社内の指摘を1つの一覧に集め、合意した仕様への訂正と、新しく希望する変更を分けて制作会社へ送ってください。費用と納期への影響は、作業に入る前に確認します。

この記事は初稿から納品までの修正を扱います。発注前の資料はオリエンで渡す情報、制作費の項目は料金と見積もりの内訳で確認できます。

感想に、気になる場面と理由を添える

判断しにくいのが「全体的にもう少しよくしたい」「なんとなくしっくりこない」という一文です。書いた側にはたしかな違和感があるのですが、受け取る側からは、それが企画の問題なのか、テンポの問題なのか、役者の芝居の問題なのかが分かりません。

想定例として、「暗い印象」という指摘を受けた編集担当が色味を明るくしたものの、発注側が気にしていたのは物語の結末だった場合を考えます。原因が揃わないまま修正すると、再度確認が必要になる。違和感のある場面と、その場面で何を伝えたいかを一緒に送ってください。

モニターで編集中の映像を確認する編集担当者

違和感の言語化は、発注側にとっても簡単ではありません。ただ、完璧に言語化する必要はなく、「誰の目にどう映るのが心配か」を一行足すだけで解釈は絞れます。「テンポが遅い」ではなく「最初の3秒で離脱されそうに見える」と書かれていれば、冒頭の構成を検討する依頼だと伝わります。視聴データを確認していない段階では、離脱の原因と断定しないでください。

修正依頼は3つの階層に分けて出す

企画の変更は、必要な素材や編集の構成にも影響します。字幕の誤字と同時に見つかった場合も、指摘は一覧へ残し、着手順を分けてください。誤情報や権利に関する指摘を、後の連絡まで伏せる必要はありません。

流れをつかむ 修正は影響する範囲から決める 1 方向 訴求・設定と必要素材を確認 2 構成 残すカットと順番を決める 3 仕上げ 字幕・音・色を調整する
指摘は一括で共有し、着手順を制作担当と決める。

たとえば結末を変更する場合、既存の別テイクで組めるか、撮影を追加する必要があるかを先に確認します。その結果で使うカットが変わるなら、該当カットの字幕調整は後に回せます。すべての仕上げが必ずやり直しになるとは限りません。

伝わる修正指示の4点セット

一つひとつの指示は、時間・現状・理由・期待の4つで書くと、修正箇所と意図を制作担当へ伝えやすくなります。書式は箇条書きでも表でもかまいません。

よく届く書き方 場所と目的が分かる書き方
冒頭がもう少しインパクトほしいです0:00〜0:03。いまは部屋の引きから始まっています。スクロール中の人に何の話か伝わらず離脱されそうです。1カット目を主人公の表情のアップにして、最初のセリフを先に出してください
セリフが聞き取りづらい0:24〜0:31。BGMがセリフに被っています。音を出せない環境で見る人が多い想定なので、この区間はテロップを全文入れ、BGMを一段下げてください
もっと商品を目立たせたい1:02。商品が映るのが一瞬です。ここは購入を検討している人に名前を覚えてもらう箇所なので、パッケージが読める尺で2秒止めてください。宣伝色は強めたくないので、セリフは足さずに画だけで見せたいです
全体的に暗い印象通し。採用向けなので「働きやすそう」と感じてほしいのですが、いまは照明と色味が重く、シリアスなドラマに見えます。全体を明るめのトーンに寄せてください。判断に迷ったら、暗さより明るさを優先してください

右側は、本記事で作成した修正指示の例です。修正に必要な日数は、素材の有無と作業範囲を確認して制作担当と決めてください。

指示に参考映像や差し替え用の素材を添えるときは、送る前に共有できる相手と権限を決めておきます。渡し方は動画素材の送り方にまとめました。届いた初稿がそもそも再生できない場合は、指示を書く前に納品動画が再生できないときの確認手順で、ファイルと再生環境のどちらに原因があるかを切り分けてください。

「お任せします」も立派な指示です。 全部を指定する必要はありません。どうしても言語化できない箇所は「違和感はあるが原因が分からない。プロの判断で直してほしい」と正直に書いてもらった方が、こちらは動けます。困るのは、言語化できていない違和感が「もっとよくしてください」という形で来ることだけです。

修正回数と追加費用を、作業範囲で確認する

基本料金に含まれる修正回数と範囲は、見積書・契約書で確認します。「2回まで」なら、1回分に含む指摘の範囲、再提出後に別部署から来た指摘の扱い、台本変更を含むかまで揃えてください。回数だけを他社と比べても、買う作業が同じとは限りません。

修正依頼を送る際は、合意済みの仕様へ合わせる訂正か、発注後に希望が変わった追加作業かを分けて伝えます。費用負担を一方で決めず、変更内容と合意した条件を制作会社と照合してください。

修正する段階変更の例見積もりで確かめる範囲
企画・構成訴求や物語の変更再提案・構成の作り直し
脚本・絵コンテセリフ・構図の変更書き直し・描き直し・再確認
撮影準備後場所・出演者の変更手配済みの内容と日程への影響
撮影後・編集中カットや演技の変更元素材で対応できるか、追加撮影か
納品前文字・音量・色の変更各版への反映と書き出し・検品

撮影前でも、企画やコンテを作り直す作業は発生します。早い段階で意見を揃えるのは、撮影後に必要な素材が足りないと判明するのを避けるためです。無償で何度でも変更できるという意味にはなりません。制作会社から追加作業・費用・提出日への影響を返してもらい、合意してから進めます。

たとえば「主人公の職業を変えたい」という依頼では、企画中なら台本の書き直し、撮影後なら衣装や背景を含む撮り直しが必要かを確認します。同じ希望でも、戻る工程が違う。工程全体はショートドラマの納期と撮影期間を参照してください。

発注側が知っておきたい法律の線引き

修正依頼は、量と出し方によっては取引の問題になります。フリーランスや個人事業主のクリエイターに直接発注している場合はとくに注意が必要です。

フリーランス・事業者間取引適正化等法には、業務委託をする側の禁止行為があります。関係省庁のガイドラインの第3・3(1)⑦(本文10ページ)では、受託者に責任がない内容変更ややり直しによって、受託者の利益を不当に害する行為を禁止しています。この禁止には、発注者が従業員を使用するなどの「特定業務委託事業者」に該当し、1か月以上の業務委託をするという適用条件があります。更新により1か月以上になる場合も含め、対象者と取引条件は同資料で確認してください。

文化庁の契約に関するFAQでも、合意した契約条件を明らかにする方法を説明しています。修正の対象、確認回数、費用と納期への影響も、担当者間の口頭のやり取りだけにせず記録に残します。

実務に落とすと、注意すべきなのは次の点です。当初の依頼になかったことを後から足すなら、費用と納期も一緒に動かす。 「ついでにこれも」を無償で積み上げると、金額の大小にかかわらず、やり直しの強要と受け取られる余地が生まれます。

もうひとつは記録です。どの時点で何を合意し、どこから追加になったのかが残っていれば、発注側も制作側も守られます。口頭やチャットの断片で決めていくと、後から「言った・言わない」になりやすい。合意した内容はその都度、書面かメールに残しておくのが安全です。出演者の権利や二次利用の扱いはショートドラマの出演者契約と二次利用|発注側の権利処理にまとめました。

撮影前に、修正の判断基準を揃える

企画・台本・絵コンテを確認するときは、発注時に決めた訴求と、商品情報の正しい資料を照合します。曖昧な箇所は撮影へ進む前に制作会社へ返し、保留している内容が撮影条件へ影響するか確認してください。書き直しや描き直しを頼む場合も、見積もりに含まれる範囲と再提出日を確認します。

初稿への修正は、方向の変更と仕上げの訂正を分けて一覧にします。全体の方向が未決なら、その影響を受ける字幕の修正をいつ行うか、制作担当と順序を決められます。誤字や誤情報を見つけた場合は一覧に残し、仕上げの確認時に取りこぼさないようにしてください。

想定例として、撮影後に社内の商品担当から「その使い方は紹介できない」と指摘された場合を考えます。編集で除けるか、代わりの素材があるか、追加撮影が必要かで対応が変わります。これは当社の実案件の紹介ではなく、確認の順序を考える例です。撮影前に確認する商品表現は台本チェックへ整理しています。

修正版は依頼一覧と同じ番号で照合する

修正の依頼を出した後は、返ってきた動画のファイル名と版番号を一覧に追記します。新しい動画ではカットの長さが変わり、元の時間だけでは位置を探せないことがあります。修正項目に番号を付け、対象のセリフや画面も書いておくと照合できます。

確認項目依頼時に残すもの修正版で見るもの
商品名の訂正元の版・時間・正しい表記字幕と音声の両方が一致するか
BGMの調整セリフと重なる区間指定区間と前後の音量のつながり
カットの短縮残したい動作・セリフ指定した動作が途中で切れていないか
別サイズへの反映必要な縦横比と納品版同じ訂正が各版にも反映されたか

これは本記事の確認表の例です。未反映の項目には同じ番号で返答し、新しく希望する変更は別項目にしてください。制作会社は訂正の残りと新規作業を区別して、次の提出範囲を提示できます。

よくある質問

Q1. 修正は何回まで無料ですか?

基本料金に含まれる回数・範囲・数え方を見積書や契約書で確認してください。企画や絵コンテの修正も、無制限・無償とは限りません。追加の希望がある場合は、作業と費用、提出日への影響を確認して合意します。

Q2. 違和感はあるのに、どこを直せばいいか分かりません

無理に原因を特定しなくて大丈夫です。「0:15あたりから見ていて集中が切れる」のように、違和感を覚えた時間と、そのときの感覚だけ書いてください。原因の特定は制作側の仕事です。困るのは、時間の情報がない全体評だけが届くときです。

Q3. 撮り直しはお願いできますか?

撮り直しの可否、追加手配と費用負担は、修正理由と契約内容によって確認します。撮り直しを避けたい場合は、撮影前に絵コンテと香盤表を必ず確認し、可能なら撮影当日に立ち会って「その日しか直せないもの」をその場で確認してください(動画撮影の立ち会いで発注者がやること|当日の判断とNGな一言)。既存素材で編集する案と、追加撮影する案の作業範囲を比べてください。

Q4. 修正のやり取りはどのツールがいいですか?

動画に時間を指定してコメントできるツールは、該当箇所を共有する助けになります。無い場合でも、メールやチャットで「時間・現状・理由・期待」の4点が揃っていれば十分に機能します。避けたいのは、複数の担当者から別々の経路で修正が届く状態です。社内で一度まとめてから、窓口を一本にして送ってください。

Q5. 社内の意見が割れていて、指示がまとまりません

その状態のまま送っていただいてもかまいませんが、「最終的に誰が決めるか」だけは先に決めてください。決裁者が不在のまま修正を重ねると、往復が終わらなくなります。判断が割れた論点は、こちらから2案出して選んでいただく形にすることもあります。

修正したい箇所と、発注条件を添えて相談する

ナイトてんしょん(当社)へ制作を相談する際は、完成させたい内容、提出期限、社内の確認担当をお知らせください。初稿後の修正を含め、見積もりの範囲は個別の条件を確認して決めます。

自社SNSの年間再生回数1億5,000万回越えの制作活動を背景に、ショートドラマの企画・制作を行っています。ショートドラマ制作サービスとお問い合わせからご相談いただけます。