動画の撮影日に写真も残したいときは、写真の用途、撮る時間をどこに入れるか、使ってよい範囲の3つを発注前に決めます。「ついでに何枚か撮っておいてください」とだけ伝えると、当日その場で止める時間が取れず、結局は動画から切り出した画像で間に合わせることになります。

写真が要る理由は、Webサイトの差し替え、採用ページ、店頭のPOP、プレスリリース用の画像など、案件ごとに違います。用途が決まれば、専任のカメラマンを1人増やすのか、動画の合間に撮ってもらうので足りるのかが判断できます。この記事では、3つの用意の仕方と、当日の組み方、使用範囲と見積もりの確認点を、企業のショート動画の撮影を想定して整理します。

写真の用意の仕方は、大きく3つに分かれる

同じ「写真も欲しい」でも、撮り方によって当日の進行と費用の増え方が変わります。まず、次の3つのどれに近いかを決めてから相談してください。

用意の仕方向いている用途当日への影響先に確認すること
スチール専任のカメラマンを追加する商品カット、人物のプロフィール、印刷物人数と機材が増える。動画の進行を止めずに撮れる場面が多い追加の人件費、当日の立ち位置、音の出る機材の扱い
動画班が合間に撮るSNS投稿、社内報、Webの記事内画像カットの区切りで止める時間が要る誰のカメラで撮るか、止める時間を香盤のどこに入れるか
納品された動画から切り出すサムネイル、資料の挿絵、小さく載せる画像撮影当日の追加作業はない使う場所の必要な画素数、動きのある場面かどうか

3つを組み合わせても構いません。例えば、プロフィール用の人物写真は動画撮影を止めて撮り、サムネイルは動画から切り出す、という組み合わせが考えられます。全部を専任カメラマンに任せる前提で見積もると、必要のない撮影まで金額に入ることがあります。

決めきれない場合は、写真を載せる予定のページや資料を先に見せてください。縦長の枠に人物が入るのか、横長のバナーに商品だけが入るのかで、撮る構図が変わります。仕上がりの枠が分かっていれば、撮影中に「この構図でもう1枚」と足せます。

動画からの切り出しで足りるかは、使う場所から逆算する

切り出しは追加の撮影が不要な分、手軽です。一方で、使える場面には条件があります。判断は「どこに、どのくらいの大きさで載せるか」から逆算します。

関係を整理 写真の使い道で撮り方が決まる 写真の使い道 向いている用意の仕方 印刷物・主要ページ スチール専任を追加 SNS投稿・社内報 動画班が合間に撮る サムネイル・資料の 挿絵 納品動画から切り出す 広告へ転用する予定 使用範囲を契約に追記
同じ撮影日でも、載せる場所によって頼み方が変わります。

確認するのは次の3点です。画素数は、4K(2160p)で撮った動画なら1コマが3840×2160ピクセルです(YouTubeが案内している16:9の推奨解像度の表記と同じ)。Webページやスライドに載せる大きさなら足りることが多く、大きく引き伸ばす印刷物では不足する場合があります。印刷に回すなら、必要なピクセル数を印刷会社に確認してから、切り出しで足りるかを判断してください。

動きのある場面かどうかも影響します。動画は映像として滑らかに見えるように撮るため、切り出した1コマは、人物が歩く場面や手を動かす場面ほど、輪郭がぶれて見えることがあります。止まっている場面、話し終わりの間、商品を持って静止している瞬間は比較的使いやすい画になります。

表情と構図は、動画用に作った画をそのまま切り取ることになります。動画は前後のつながりで見せるため、1コマだけを抜くと中途半端な口の形になりがちです。写真として見せたい表情があるなら、切り出しに頼らず、その場で止めて撮るほうが早く終わります。

切り出しを前提にするなら、撮影前に伝えてください。写真に使いたい場面だけ、シャッタースピードや構図を写真向けに変えて別テイクを撮っておく、という対応ができる場合があります。撮影後に「この場面を写真にしたい」と言われても、素材の条件は変えられません。

同時に撮るなら、止める時間を先に組み込む

写真を撮る時間は、動画のカットとカットの間に自然に生まれるものではありません。照明の向きを変える、機材を持ち替える、出演者に立ち位置を戻してもらう、といった動きが必要です。撮影スケジュールを作る段階で、写真用の時間を項目として入れてもらいます。

当日の流れは、動画のカットを撮り終えたところで写真に入り、終わったら次のカットへ戻す形が基本です。同じ場所・同じ衣装で撮るものをまとめると、移動と着替えが減ります。出演者が複数いる場合は、先に全員の集合カット、その後に個別カット、という順にすると待ち時間が短くなります。

注意したいのは、撮影の終盤に写真をまとめて置く組み方です。動画側の撮り直しが発生すると、最後に押し出されて写真の時間が消えます。優先度の高い写真は前半へ入れてもらい、後半は余った時間で追加する扱いにしてください。撮影当日の判断については動画撮影の立ち会いで発注者がやることにまとめています。

現場で写真を撮る担当者には、必要な枚数ではなく、必要な場面を伝えます。「10枚」ではなく「Webのトップに使う人物カット」「商品を手に持った状態のカット」と伝えると、その場で構図の判断ができます。撮影に持ち込む商品や衣装の準備はショートドラマ撮影で発注側が用意するものを確認してください。

写真の使用範囲は、動画とは別に書いておく

出演者の肖像を使える範囲は、動画について合意していても、写真まで自動的に含まれるとは限りません。契約書に「本作品」としか書かれていない場合、その作品が動画だけを指すのか、当日撮影した写真も含むのかで解釈が分かれます。発注の段階で、写真の利用媒体と期間を文章にしてもらってください。

文化庁の契約マニュアルでも、契約で利用範囲・利用方法を明確にすることが重要だとして、インターネットのホームページや新聞・雑誌といった利用媒体、「掲載期間は○年○月○日まで」のような利用期間を定める例が挙げられています。期間や媒体の基準が決まっているわけではないので、案件ごとに関係者と決めることになります。

流れをつかむ 撮影日に写真の時間を差し込む 1 用途を決める 載せる枠と縦横比を共有する 2 時間を確保する カットの区切りに写真の枠を入れる 3 優先を前半へ置く 押したとき消える枠を決めておく 4 その場で確認する 実際の枠に当てて余白を見る
撮影の終盤にまとめて置くと、動画の撮り直しで写真の時間が消えます。

写真には、撮影した人の著作権も関わります。制作会社に依頼して撮ってもらった写真を、自社で自由に加工・配布してよいかは契約の条件によります。トリミングや文字入れをする予定があるなら、その加工も認められる書き方になっているかを見てください。出演者と権利の整理はショートドラマの出演者契約と二次利用で詳しく扱っています。

撮影した写真を後から広告に回す可能性があるなら、その時点で追加の許諾が必要かも聞いておきます。使い回す範囲の考え方は制作した動画の使い回しと同じで、想定する使い先を先に並べておくほど、後の確認が減ります。

見積もりは、人・カット数・仕上げの3か所を揃える

写真の費用は、動画の料金に「少し足す」形で決まるとは限りません。人が増えるのか、時間が延びるのか、仕上げの作業が増えるのかで、増え方が変わります。複数の会社に相談するときは、次の条件を同じ内容で伝えて比較してください。

見積条件揃えて伝える内容
撮影する人スチール専任を追加するか、動画班が兼ねるか
撮影時間写真のために止める時間を何分見込むか
場面とカット数人物・商品・場所ごとに何場面撮るか
仕上げ色の調整、不要物の消し込み、切り抜きをどこまで行うか
納品形式、枚数、納品までの日数、元データを渡すかどうか
利用条件使用媒体、期間、加工の可否

「レタッチ込み」という言葉だけでは、明るさの調整までなのか、背景の映り込みを消す作業まで入るのかが分かりません。仕上げの範囲は、実際に直したい例を1枚見せて確認すると早く決まります。見積書の並べ方は動画制作の相見積もりの手順がそのまま使えます。

当社の制作相談では、写真の用途が決まっていない段階でも構いません。載せる予定の場所を一緒に確認して、専任を足す価値がある案件か、切り出しで足りる案件かを整理します。

納品時は、枚数よりも「使える状態か」を見る

受け取ったら、まずファイル形式と枚数を確認します。JPEGだけを受け取るのか、色の調整ができる元データも渡してもらうのかは、事前の取り決めによります。あとから色を変えたい可能性があるなら、元データの受け渡しを見積もりの段階で決めておきます。

次に、実際に載せる枠へ当ててみます。縦長の枠に横長の写真を入れると、人物の頭や商品の端が切れます。載せる場所で開いてから、トリミングして使える余白があるかを見てください。この確認は、動画の納品物を一式で照合する手順と同じ考え方です。詳しくは動画制作の納品データで受け取るものにまとめています。

写真の元データをいつまで預かってもらえるかも確認します。差し替えや再加工の依頼は、公開した後に出てくることが多いためです。素材の保管と再利用の備えは撮影素材はいつまで残るで整理しています。

よくある質問

Q. 動画の撮影中に、スマートフォンで撮っておくのでは足りませんか?

用途によります。社内共有や進行の記録なら十分です。Webサイトの主要な画像や印刷物に使うなら、照明や背景の条件が揃った状態で撮ったほうが仕上がりが安定します。なお、撮影現場をスマートフォンで撮る場合も、出演者や撮影場所の許可の範囲に入っているかを確認してください。

Q. 写真を追加すると、撮影は何分くらい延びますか?

場面の数と、照明や立ち位置を変える必要があるかで変わります。見積もりの段階で「何分の枠を取るか」を数字で確認し、撮影スケジュールに入れてもらってください。当日その場で判断すると、動画側の進行を削ることになります。

Q. 納品された動画から、あとで切り出してもらえますか?

元データの保管期間と契約の範囲によります。作業自体は可能なことが多い一方、画素数や動きの条件で使えないこともあります。切り出しを使う予定があるなら、撮影前に伝えておくほうが確実です。

Q. 撮った写真を広告にも使えますか?

契約に書いた利用範囲によります。出演者の肖像を使う範囲が動画だけになっていれば、広告への転用は範囲外になる場合があります。転用の予定がある時点で、媒体と期間を含めて確認してください。

ナイトてんしょんへ動画制作を相談する際は、写真を載せる予定のページや資料もあわせてお知らせください。専任を足すか、合間に撮るか、切り出すかを、用途に合わせて撮影計画に入れます。制作内容を相談するときに、使いたい枠の縦横比が分かる画面があると、当日の構図まで決めやすくなります。

出典の確認日:2026年9月25日。契約や権利の扱いは案件ごとに異なるため、実際の契約内容は関係者と確認してください。