ショートドラマを何本発注するかは、公開したあとに何と何を比べて次の判断をしたいかで決めます。上映先と伝える内容が一つなら、1本にまとめる案から検討できます。SNSや広告で表現の違いを比較したい場合は、複数案と比較条件を用意します。ただし、同時期に複数本を出すだけで成果の原因が分かるわけではありません。対象者・配信量・期間が異なる場合やデータが少ない場合は、判断を保留します。

予算の上限から本数を逆算すると、「1本に全部を込めて、結果を見てから考える」という発注になりがちです。その1本が伸びなかったとき、題材が合わなかったのか、冒頭が弱かったのか、投稿した時間帯の影響なのかを切り分けられず、次の発注前に、数字以外の試写や視聴者の質問も含めて調べる必要があります。

この記事は、初めてショートドラマを外注する企業の担当者に向けて、1本・3本・月額運用のどれを選ぶか、複数本で何を変えるか、公開後に何を見るかを整理します。文中の架空例と表は説明のために当社が作った提案で、実案件の結果を示すものではありません。

本数は、公開後に比べたいことから決める

最初に、完成した動画をどこで使い、使ったあとに何を決めたいのかを書き出してください。社内イベントで1回上映する、会社紹介ページに置く、といった用途なら、動画の役目は「伝えること」で終わります。この場合は本数を増やすより、1本の脚本と撮影に時間をかけるほうが目的に合います。

SNSアカウントへの投稿や広告配信に使う場合は、公開後の数字を見て「次に何を作るか」を決める場面が必ず来ます。そこで比べる材料がないと、次の企画は担当者の印象で決めることになります。複数本を発注するのは、この比べる材料を作るためです。

関係を整理 使い道から発注本数を決める 動画の使い道 本数の考え方 上映・会社紹介 1本に集中 SNSで反応を試す 1点だけ変えて3本 アカウントを育てる 月額で継続
公開後に比べる予定があるかで分ける
使い方本数の考え方公開後に見ること
上映・会社紹介1本に集中見た人の反応・質問
SNSで反応を試す違いを変えて3本視聴の続き方・反応
広告で配信する媒体の推奨数を確認クリック・相談の数
アカウントを育てる月額で継続月ごとの推移

アカウントを継続して育てる場合は、本数を1回ごとに決めるより、月に何本を投稿し、誰が企画から分析までを持つかを先に決めます。この判断は後半の「月額運用に切り替える目安」で扱います。

1本で足りるのは、比べる必要がない用途

1本の発注が向くのは、公開する場所と見る人が決まっていて、反応を比べて作り直す予定がないときです。例えば、店頭のモニターで流す動画や、採用説明会で上映する動画がこれにあたります。

ただし、同じ1本をSNSにも投稿する予定があるなら、その投稿の結果で次の制作を判断できるかを考えてください。1本の結果だけでは、題材と表現のどちらが効いたかを分けられません。SNSでの反応を次の企画に使いたい場合は、最初から複数本で計画するほうが判断材料がそろいます。

3本で始めるなら、変える要素を1つに絞る

3本を作るときは、3本とも題材も主人公も結末も違う「別々の3本」にしないことが大切です。全部が違うと、1本だけ伸びたときに、どの違いが効いたのかが読み取れません。商品の見せ方や結末をそろえ、比べたい要素だけを変えます。

変える要素の候補は、冒頭で見せる困りごと、主人公の立場、商品が登場するタイミングなどです。最初の検証では、視聴を続けるかどうかを左右しやすい冒頭の困りごとを変える案から始めると、結果を次の企画に移しやすくなります。登場人物の数の決め方は登場人物は何人にするか、主人公の選び方は企業ショートドラマの主人公にまとめています。

架空の宅配弁当サービスで考えます。3本とも「夕食の準備が間に合わない」という困りごとから始まり、主人公が弁当を受け取って家族と食卓を囲む結末は共通にします。変えるのは困りごとが起きる場面だけで、1本目は共働き夫婦の残業、2本目は一人暮らしの在宅勤務、3本目は子どもの部活の送り迎えにします。この例は場面と登場人物の属性が同時に変わるため、反応差を場面だけの効果とは判断できません。次の企画候補を探す探索用の3本として扱い、どの要素が効いたかを調べたい場合は、対象者や配信条件もそろえて別に比較します。

同じ日に撮ると、条件がそろって費用も抑えやすい

複数本を別々の日に撮ると、出演者の雰囲気や照明が変わり、比べたい要素以外の違いが混ざります。同じ出演者・同じ場所で同じ日にまとめて撮れば、条件がそろいやすくなり、移動や準備の手間も1回で済みます。

まとめ撮りを前提にするなら、3本分の台本を撮影前にそろえて確認しておきます。1本目の撮影後に2本目の内容を決める進め方では、撮影日を分けることになり、比べる条件もそろいません。台本の確認の進め方は台本チェックで見る7項目を参照してください。

広告で配信するなら、媒体が勧める本数も確認する

広告として配信する場合は、配信する媒体が1つの広告の単位にどれだけの動画を入れることを勧めているかも、本数を決める材料になります。TikTok広告の公式ヘルプは、広告セットごとにクリエイティブを3〜5点用意することを推奨しています。同じページでは、配信成果に減少傾向が見られたときなどに、クリエイティブを更新することも勧めています。

Google広告のデマンド ジェネレーション キャンペーンの動画アセットの説明では、広告ごとにアップロードする動画の仕様は1〜5本とされています。これは媒体ごとの推奨や仕様で、その本数を用意すれば成果が出ることを約束するものではありません。配信の担当者と、どの媒体でいくつの広告を出すかを先に決めてから、必要な本数を数えてください。

見積もりでは、比較案と納品本数を別に数える

冒頭だけ違う3案でも、完成動画を3ファイル納品するなら、確認・書き出しの対象は3つです。台本を3案出して1案だけ制作する依頼とは分けて見積もります。当社の制作料金では、POVは4万円/本〜・3本以上、ライトは5万円/本〜・3本以上、本格は15万円/本〜・2本以上です。最低本数での制作費は順に12万円〜、15万円〜、30万円〜。業界相場ではなく当社の条件です。

用途上は1本で足りる場合でも、発注先の最低本数と合わなければ、その料金のまま1本だけ頼めるとは限りません。残りの動画を無理に増やさず、必要な納品物と総額を確認します。撮影前に本数を確定できない場合は、追加を決める期限と、後から追加した場合の再手配を見積書へ分けてください。

公開後に見る数字を、撮る前に決めておく

複数本を作っても、公開後に比べる数字と期間を決めていなければ、結果は「なんとなく2本目が良かった」で終わります。撮影の前に、どの数字が良ければ次も同じ方向で作るのかを、発注側と制作側で決めておきます。

流れをつかむ 3本の結果を次の発注に生かす 1 企画 変える要素を1つ決める 2 撮影 同じ日・同じ条件で撮る 3 公開 同じ週・近い時間帯に出す 4 次の発注 伸びた型で次の1点を変える
見る数字と期間は撮影前に決める

SNSへの投稿であれば、再生数に加えて、最後まで見られた割合やプロフィールへの移動、保存やコメントの数を記録します。広告であれば、クリック数と、その先の問い合わせや資料請求の件数を分けて記録します。目的に合わせた指標の選び方はショートドラマ広告のROI・KPI設計で詳しく説明しています。

比べるときは、3本を同じ週に、近い時間帯で公開します。1本目を平日の昼、2本目を週末の夜に出すと、時間帯の違いも結果に混ざります。データが少ない場合や、比較条件がそろわない場合は、その数字だけで勝ち負けを決めず、観測する期間を延ばすか、次の3本で同じ傾向が出るかを確かめます。広告で2案を比べる設計は動画広告のABテストにまとめています。

結果が出たら、伸びた型を次の発注にどう生かすかを決めます。例えば宅配弁当の例で在宅勤務の場面が伸びたなら、次の3本は在宅勤務の主人公のまま、商品が登場するタイミングを変えて比べる、という進め方ができます。1回ごとに変える要素を1つずつ進めると、何が効いているかの記録が残り、社内への説明にも使えます。

月額運用に切り替える目安

単発の発注を何回か続けて、投稿の方向が見えてきたら、月額の運用に切り替えるかを検討します。切り替えを考える場面は、毎月決まった本数を投稿したいとき、社内に企画や投稿、分析を担当する人がいないとき、単発の発注のたびに見積もりと社内承認を取る手間が重いときです。

運用の契約では、制作に加えて、投稿作業や月ごとの振り返りまでを制作会社に任せられる場合があります。単発の発注を毎月繰り返す場合と比べるときは、制作費だけでなく、自社で投稿やコメント対応をする担当者の時間も含めて比べてください。運用代行で任せられる範囲と費用の考え方はSNS運用代行の費用相場、納品後の投稿の分担は動画の投稿は誰がやるかで扱っています。

当社のライトショートドラマ運用は月8本・40万円〜です。月額の下限40万円を8本で割ると1本あたり5万円となり、単発制作の下限単価と同額です。プランごとの本数と対応範囲はショートドラマによるSNS運用のページで確認できます。

予算が限られるときの組み方

同じ予算でも、1本を作り込むか、複数本で試すかで、得られるものが変わります。ブランドの世界観を伝える動画や、長く使う会社紹介の動画なら、場面転換やロケーションを増やした作り込みに予算を寄せる判断があります。SNSでどの切り口が見られるかを探す段階なら、1本あたりの費用を抑えて本数を確保するほうが、比べる材料が増えます。

当社の単発制作では、本数の条件を料金と一緒に決めています。

制作の種類1本の料金発注本数の条件
POVショートドラマ4万円〜3本以上
ライトショートドラマ5万円〜3本以上
ショートドラマ15万円〜2本以上

例えばライトショートドラマを3本発注する場合は15万円〜です。作り込んだショートドラマの1本分の単価(15万円〜。発注は2本以上)で、3本を並べて比べられます。どちらが合うかは、動画を何に使い、公開後に何を決めたいかで変わります。料金の内訳と見積もりの見方はショートドラマ制作費はいくら、社内で予算を通すための資料は動画制作の稟議を通す方法を参照してください。

なお、再生数は事前に保証できるものではありません。複数本で始めるのは、次に予算を集中させる方向を、担当者の印象でなく公開後の数字で決めるためです。

よくある質問

1本だけの制作は相談できますか?

当社の料金表の単価は、POVショートドラマとライトショートドラマが3本以上、ショートドラマが2本以上の発注を対象にしています。1本だけ必要な事情がある場合は、用途と公開時期を添えてご相談ください。本数の条件を含めて、進め方を確認します。

3本とも伸びなかったときは、どうすればよいですか?

まず、投稿や配信が意図した相手に届いていたか、計測が動いていたかを確かめます。そのうえで、3本で共通にしていた要素(商品の見せ方や結末など)に原因がないかを見直します。3本の差が小さい場合は、変えた要素が視聴者にとって違いになっていなかった可能性もあるので、露出量や流入条件、試写での理解も確認します。比較条件がそろわない場合は勝敗を保留し、必要な情報を得てから次の変更を決めます。

続き物のシリーズにしたほうがよいですか?

続き物は、前の話を見た人に次の話を届ける設計が必要で、初めて見る人には内容が伝わりにくくなることがあります。反応を試す段階では1話で完結する作りのほうが比べやすく、方向が見えてからシリーズにする判断もできます。シリーズの話数や尺の考え方はショートドラマのシリーズ設計にまとめています。

何本作れば効果が分かりますか?

決まった本数はありません。投稿先のフォロワー数や広告の予算によって、1本あたりに集まる数字の量が変わるためです。結果を比べられるだけの再生数が集まるまで観測し、少ない数字で勝ち負けを決めないことを優先してください。

何本にするか迷ったら、使い道と比べたいことを添えて相談する

まだ本数が決まっていなくても、動画をどこで使うか、公開後に何を決めたいかが分かれば、本数と予算の組み方を一緒に整理できます。比べたい要素の候補がある場合は、それも共有してください。

ナイトてんしょんでは、ショートドラマの企画・撮影・編集と、SNSでの運用について相談を受け付けています。ショートドラマ制作の料金と流れを確認し、制作の相談窓口から、用途と公開の希望時期をお知らせください。