納品動画の口の動きと声が合わないときは、元の納品ファイル、確認した端末、ずれが見える時刻を揃えて制作会社へ伝えます。「音が遅い」という感想だけでは、同じ状態を再現できません。最初にファイル自体と再生環境を分けて確認すると、どこを調べてもらうかが明確になります。
この記事は、動画の音ズレを発見した発注担当者向けの確認手順です。編集を依頼する際に何を渡し、どの版を検収するかを扱います。声が小さい、BGMが大きいという問題は音量調整の依頼へ、ファイルを開けない場合は納品動画が再生できないときへ進んでください。
音ズレを見つけたら同じファイルで確認する
元ファイルと投稿後の映像を分ける
まず、制作会社から受け取ったファイルをそのまま残します。メッセージアプリで転送したもの、社内で別形式に変換したもの、SNSへ投稿したものは、元ファイルと区別してください。どの段階からずれて見えるのかを調べるためです。複数の版があるなら、ファイル名と受領日を記録します。
次に、元ファイルを端末へ保存し、普段使う再生アプリで確認します。その後、別の端末や再生アプリでも同じ場所を見ます。内蔵スピーカーと普段の音声出力先で見え方が違う場合も、その違いをメモしてください。この比較だけで原因を確定することはできませんが、「どの環境でも同じ」「特定の環境だけ」の違いは制作側が確認する手掛かりになります。
投稿後だけ気になる場合は、元ファイルと投稿先URLを両方渡します。投稿を削除してしまう前に、発生時刻、端末、アプリ、確認した日時を残してください。公開を続けるか一時的に止めるかは、内容の重要度や社内の判断基準に沿って担当者が決めます。
冒頭・途中・終盤でずれ方を記録する
会話の口元、手をたたく瞬間、物を置いた瞬間など、映像と音を照合できる箇所を選びます。BGMの拍だけでは、演出として音を先に置いている可能性もあるため、台本や制作意図を確認してください。「声が先に聞こえる」「口が動いた後に声が聞こえる」のように方向まで書くと伝わります。
冒頭だけを見て動画全体の状態を決めないことも大切です。初めから終わりまで同じようにずれて見えるのか、途中のカットから変わるのか、後半ほど大きく感じるのかを分けます。秒数を正確に測れなくても構いません。「00:12のあいさつでは声が先、00:48ではほぼ合って見える」と、再現できる場所を伝えます。
制作会社へ送る修正メモ
以下は架空の記入例です。実際の案件では、確認したファイル名と時刻に置き換えてください。原因が分からない段階で「フレームレートを直してほしい」などの解決方法を指定するより、観測した状態を渡すほうが調査の範囲を狭められます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 対象ファイル | 採用動画_確認用_v02.mp4 |
| 気になる箇所 | 00:12〜00:18、社員があいさつする場面 |
| 状態 | 口が動く前に声が聞こえる |
| 全体の傾向 | 冒頭では分からず、このカットから気になる |
| 確認環境 | 社内PCの再生アプリ名・版、内蔵スピーカー |
| 比較した結果 | 同じ元ファイルを別端末でも確認し、同じ場所で発生 |
| 依頼内容 | 原因の確認と、修正可能な範囲・納期の回答 |
画面を録画した確認動画を添える場合も、元ファイルを一緒に渡します。画面録画そのものの状態と、納品ファイルの状態が同じとは限らないからです。指摘箇所へ印を付けるための補助資料として使い、「この録画だけを素材に直してほしい」という依頼にしないようにします。
当社の制作現場で行う台本確認では、企画の狙いと完成させたい内容を照合します。修正依頼でも同様に、どの版のどの発言を残すかを確認することが重要です。口元に合わせるために別テイクの声へ変えた結果、説明の意味が変わっていないかも発注側で確認してください。修正メモ全般の書き方は動画制作の修正依頼で扱っています。
同期の修正で必要になる素材と確認範囲
完成ファイルだけか、撮影・録音素材も渡せるか
編集を担当した会社へ戻す場合は、まず対象の納品版を伝え、プロジェクトや素材が残っているか確認します。別の編集者へ依頼する場合は、完成ファイルだけで調整できるか、元の撮影ファイルや別録りした音声が必要かを先に相談してください。素材の有無によって、可能な修正と確認工程が変わります。
AppleのFinal Cut Proの同期ガイドは、複数の映像・音声クリップを同期し、結果が適切でない場合は手動で調整する方法を説明しています。カメラ側の参照音声と別録り音声を使う例もあります。発注者がソフトを操作する必要はありませんが、どの映像とどの音声が組になるかを伝えられると、編集者が素材を確認しやすくなります。
音声のない映像しか残っていない場合や、別のテイクの音声しかない場合は、その事実を先に伝えます。どんな状態でも自動同期で直せるとは判断しません。素材を渡すときは大容量データと共有権限の決め方を参考に、受け取り担当を限定し、元ファイルを上書きしない形にします。
自動で合わせた後も、納品版で見る
YouTubeのアップロード時の音声・映像の問題に関するヘルプも、音声トラックと映像トラックの長さが異なると同期がずれる可能性があるとして、アップロード前に動画編集ソフトで直すよう案内しています。投稿先で直すのではなく、書き出す前の編集データで修正するということです。
編集ソフトの同期機能は作業を助けますが、処理が終わったことと、発注者が確認した場面のずれが解消したことは別です。書き出された修正版を見て確認します。
同期だけでなく、再生環境の確認も必要です。編集者の画面では合って見えても、発注側の端末やアプリで再生すると違って見えることがあります。納品ファイルを発注側と同じ端末・アプリで確認してもらい、どの段階でずれが出るのかを照合します。
修正依頼の時点では、一律に「音声を何秒動かせば直る」と指定しません。全編の位置調整なのか、カットごとの確認が必要なのか、素材の再同期が必要なのかを制作側へ調べてもらいます。音を動かしたことで、別の場面の効果音や字幕との関係が崩れていないかも確認対象です。
費用と納期は修正範囲を決めてから確認する
納品時の不備への対応と、発注後に増えた編集の依頼は、見積書や契約での扱いを確認します。音ズレがあるという申告だけで、一律に無料とも追加料金とも決められません。どの版で発生し、合意した仕様とどう違い、どの作業が必要なのかを確認して判断します。
見積もりでは、調査、短い試作、全編への反映、書き出し、確認のどこまで含むかを揃えます。動画が複数あるなら対象本数を、縦型と横型の両方を使うなら修正する納品版を明示してください。一つの版が直っても、他の版まで更新されたとは限りません。
| 確認項目 | 発注前に決める内容 |
|---|---|
| 対象 | ファイル名、版、本数、該当時刻 |
| 素材 | 完成ファイルのみか、撮影・録音素材もあるか |
| 調査と試作 | 原因調査と修正可否の確認を含むか |
| 納品 | 形式、縦横、投稿先ごとの種類 |
| 確認 | 誰が、どの環境で、いつまでに返答するか |
| 公開済みの版 | 差し替え・再投稿を誰が判断するか |
公開日が近いときは、確認時間を省くのではなく、優先して直す版を相談します。修正版がいつ届き、社内で誰が再生し、問題が残った場合にいつ返答できるかまで予定に入れます。手元の最新版を特定できない場合は、先に版の整理を済ませてください。
修正版の検収は元の指摘と全体の両方を見る
修正版を受け取ったら、最初に指摘した時刻を同じ環境で見ます。その後、冒頭から終わりまで再生し、別の場面にずれが出ていないか確認します。会話の口元に加え、拍手や物音、カットのつながりも見てください。途中だけを切り出した試作で通っても、全編の納品を確認したことにはなりません。
次に、納品予定の全バージョンを確認します。字幕あり・なし、縦型・横型など、複数のファイルがある場合はファイル名と確認結果を並べます。公開先での確認も依頼しているなら、アップロードした版と手元の修正版が一致するか照合します。納品物の整理は検収チェックの見方を使えます。
確認が終わった版には、承認日と承認者を記録します。修正前の版は誤って投稿しないよう保管場所を分け、必要な履歴は残してください。公開中の動画を差し替えるときの担当や判断は公開済み動画の修正・再投稿で整理しています。
よくある質問
Q. 音が遅いと感じたら、すぐ再編集を頼めばよいですか?
まず元ファイルと確認環境を揃え、同じ場所で再現するかを確認してください。ファイル名、時刻、ずれの方向、別環境での結果を渡すと、制作会社が調べる対象を特定できます。
Q. 完成動画しか残っていなくても直せますか?
素材の状態と修正内容によります。完成ファイルだけで対応できるか、元の映像や別録り音声が必要かを確認し、必要なら一部の試作で判断します。必ず直せると見込んで発注しないようにしてください。
Q. 自動同期した動画なら検収を省けますか?
省けません。指摘した場面と動画全体を納品ファイルで確認します。編集画面の状態だけでなく、実際に受け取った版と公開予定の版が合っているかを見ます。
Q. 音ズレの修正と音量調整は同じですか?
確認する内容が違います。音ズレは映像と音のタイミング、音量調整は声やBGMの聞こえ方を扱います。両方が気になる場合は、該当箇所を分けて依頼してください。
音ズレの修正を相談するときは、対象ファイルと気になる時刻、利用予定の媒体をお知らせください。ナイトてんしょんの動画編集の依頼範囲を確認し、制作・編集について相談することができます。