動画制作で絵コンテを頼むか迷ったら、撮影前に、絵で確かめないと決められない場面があるかを見ます。商品の持ち方、登場人物の位置、最後に見せる表情。文章だけでは社内の想像が揃わない場面を挙げ、制作会社に必要な資料と作成範囲を提案してもらってください。
全カットを描くか、重要場面だけにするか。静止画で足りるか、仮の音声を入れて再生する資料も要るか。先に決めたいのは、この範囲です。絵の描き込みだけを増やしても、商品名が映る瞬間や、何を承認したかが曖昧なままなら撮影の判断には使えません。
本記事は、ショートドラマやSNS動画を外注する担当者向けの確認手順を提案します。絵コンテの一般的な役割と、生成AIを使うときの権利の扱いは、2026年9月17日に公開資料で確認しました。企画の目的を整理する段階は制作オリエン、セリフや商品表現のチェックは台本チェックで扱います。
絵コンテを頼む範囲は、決められていない場面から考える
文字だけでは判断が分かれる箇所を先に渡す
たとえば、台本に「商品を見せる」と書いてあっても、手に持つ、机に置く、顔の横に近づける、という複数の画面が考えられます。商品名を読ませたい担当者と、会話の自然さを守りたい担当者では、同じ一文から想像する画が違う。どちらを優先する場面なのかを決めるために、そのカットの絵を依頼します。ここでの例は発注条件を考えるための想定で、当社の実案件を示すものではありません。
最初から発注側で絵を完成させる必要はありません。「商品名は見せたいが、顔を隠したくない」「オチでは相手の反応も残したい」のように、両立したい条件を文章で渡せます。参考画像を使うときも、服装、人物の位置、カメラとの距離のうち何を参考にするかを書き添える。制作会社には、条件が同時に成り立つ構図を提案してもらいましょう。
全編を描く案と、重要場面だけの案を比べる
全カットを絵にすれば、前後のつながりを追って検討できます。一方、演者の自然な会話を収録し、後から使う箇所を選ぶ計画では、全ての瞬間を撮影前の絵どおりに固定することが目的に合うかも考えたい。作る資料は、今回決める内容に合わせます。全編のカット割りを詰めたいのか、商品が登場する場面だけ先に社内承認を取りたいのかを伝えてください。
絵コンテと呼ばれる資料の描き込みには幅があります。人物の位置と動く方向が分かる線画で足りる場合もあれば、表情や色まで入れないと社内の承認が通らない場合もあります。当社が発注内容を決めるときは、絵の見栄えと、判断に必要な情報量を分けて考えています。以下では全編版と重要場面版について、提出内容・作業範囲・その資料では確認できない点を比べます。
| 発注前に決めたいこと | 依頼する資料の候補 | 追加で確認する点 |
|---|---|---|
| 全編の画面のつながり | 全カットの絵コンテ | カット番号と場面の対応 |
| 商品の見せ方 | 商品登場場面の絵・写真 | 正面、ラベル、手の位置 |
| オチの見せ方 | オチ前後の連続した絵 | 反応する人物と見せる順番 |
| セリフと動きの間 | 仮音声入りの動画コンテ | 仮の演技と確定した尺の区別 |
| 実際に撮れる構図か | 現場写真や短いテスト | 機材、場所、出演者の条件 |
制作会社へ相談するときは、描いてほしい枚数が未定でも、判断したい場面を伝えられます。ショートドラマ制作の相談には、台本の該当箇所と、社内で決めきれていない内容を添えてください。
台本・絵コンテ・動画コンテで、確認することを分ける
台本で決めた内容を、画面の条件へ移す
台本には、誰が何を言い、何が起こるかを書きます。絵コンテでは、その出来事をどの画面で見せるかを確認します。台本の合意後でも、「手元の動きが映っていない」「主人公と相手の位置が逆」という未決事項は残り得る。台本の確認済みという状態を、そのまま全ての構図の承認へ読み替えないことが大切です。発注担当は画面で新たに判断する点を分けて一覧にします。
一方で、絵コンテに描かれた細部が全て確定仕様とも限りません。背景の椅子や服の色が仮置きなら、その旨を記載してもらいます。「配置確認用」「衣装は未定」といった注記があると、社内から意図しない細部の修正が集まるのを避けやすい。商品ラベルの文字が実物と違う場合は、仮画像だから確認対象外なのか、差し替えてから承認するのかを決めてください。
尺と間は、再生できる資料で確認する
絵を順番に見れば、画面の流れは確認できます。ただし、ページを読む速さは人によって違います。セリフの後にどれだけ間を置くか、商品が映る時間に説明を言い終えられるかを決めたいときは、静止画を時間軸に並べ、仮の音声を付けた動画コンテも候補です。本記事では、このような再生して尺やテンポを確認する資料を「動画コンテ」と呼びます。制作会社が使う呼び名が違っても、提出物の中身で確認できます。
Tooが主催した「あにつく2022」の絵コンテセッション記録には、3Dアニメ制作で動画のコンテを使い、紙の資料も用意するという登壇者の説明があります。これはアニメ制作についての発言で、企業の実写動画の標準工程を示す調査ではありません。発注時には今回の用途へ戻り、社内で静止画を確認する人と、音声込みで再生する人の両方に、必要な資料を渡すよう提案します。
発注側は、商品・人物・表示範囲を確認する
商品が映るだけで目的を満たすか
商品を登場させる場面では、「画面にある」だけで承認せず、何を伝えたいカットかを確認します。使い方を示すなら操作している手と結果が見えるか。名前を覚えてもらうならラベルの向きが想定と合っているか。商品の外観や使用方法は、発注側が持っている正しい資料と照合してください。制作担当が知らない仕様を、雰囲気の確認だけで確定させないようにします。
コンテの商品の絵が小さく、ラベルまで描かれていない場合は、別の資料を足せば判断できます。商品写真のどの面を使うか、表示する正確な文言は何かを同じカット番号にひも付けます。絵の中へ説明を詰め込みすぎる必要はありません。画面で判断する点と、文字の原本で照合する点を分けると、制作会社へ返す修正も具体的になります。
人物の反応と縦画面の枠を確認する
ショートドラマでは、セリフを言う人と、聞いている人の反応が別の情報になります。商品の説明を聞いて驚く場面なら、どちらの顔を見せるかで視聴者が受け取る内容は変わる。発注側は演出を全て指定する必要はありませんが、「この反応は伝えたい」という条件を制作担当と共有します。絵を見て疑問があるときは、カメラの専門用語へ言い換えず、誰の何が見えないかを伝えてください。
SNS用の縦画面なら、実際の完成比率の枠で絵を確認します。横に広い紙面へ描かれた画を、そのまま縦の完成形だと思い込まないようにしましょう。字幕を入れる予定の領域も重ね、顔、手元、商品と重なってよいか確認します。縦版と横版を両方作る場合は、縦横を同時に発注する際の撮影設計で、各版に残す情報から方式を検討できます。
| 確認箇所 | 返答で具体化すること |
|---|---|
| 商品の登場 | どの商品・どの面・どの使い方を見せるか |
| 人物の配置 | 誰の顔と反応が必要か |
| 字幕の場所 | 顔や商品に重ねてよい範囲 |
| 背景の情報 | 看板、画面、書類など映す対象 |
| カットの前後 | 動きと商品位置がつながるか |
| 終わりの画面 | 案内文と遷移先が対応しているか |
コンテの承認は、確定した範囲と保留を一緒に残す
「これで大丈夫」の対象をカット番号で書く
確認を返すときは、資料名、版、日付、カット番号を残します。「商品を右手に持つ構図は承認。ラベル画像は商品担当の確認待ち」のように、同じカットの中でも確定と保留を分けて書けます。全体への「OK」だけでは、どの画像と文言を見た判断なのかが後から追えません。承認した資料を保存し、撮影担当へどの版を渡すかも制作会社と揃えてください。
想定例として、商品担当が修正した画像を別メールで送ったものの、広報担当が旧版のコンテへ承認を返した場合を考えます。この状態なら、全体承認を一度保留して、差し替え済みの版で該当カットを確認する方が手順として明確です。誰かが最新版を推測して統合する運用を避けるため、社内の返答窓口は決めておきます。詳細な分担はSNS投稿の承認フローも参考になります。
撮影へ進める条件と、後で決める条件を分ける
衣装、商品の持ち方、出演者の立ち位置は、撮影前の準備に関わります。後から変える可能性がある項目は、制作会社へそのまま伝え、撮影を進めてよいか相談します。字幕の最終文言が未定でも撮影できる計画と、字幕の位置に合わせて商品を置くため確定が必要な計画では、保留の影響が違います。項目の名前だけで判断せず、撮影条件への影響を確認してください。
撮影時に場所や小道具の条件が変わった場合も、何を守るかが承認記録に残っていれば相談しやすくなります。たとえば指定の机が使えない場合、机の色が重要なのか、商品と2人の手元が入る幅が重要なのかを確認する。変更時に誰へ何を確認するかも、コンテを承認する段階で決めておきます。
見積もりは、描く量と修正の扱いを分けて聞く
「絵コンテ込み」の具体的な中身を確認する
見積書に絵コンテが含まれていても、企画提案用の数カットか、撮影用の全カットかは、その一語から判断できません。対象となる場面、ラフか清書か、カラーか線画か、動画コンテまで含むかを聞きます。作成者を発注側が直接指定する必要はありませんが、どの資料で何を決める予定かは確認できます。料金相場の一律額を当てはめる前に、買う作業を揃えたい。
下表は見積もりを読むための確認項目です。金額や納期を保証する表ではありません。複数社へ依頼するなら、同じ台本と確認したい場面を渡し、それぞれが想定する提出物を比べます。絵の完成度だけで判断せず、商品情報を差し替える作業や、社内確認後の修正が含まれるかまで確かめる。料金全体の比べ方は動画制作の相見積もりへ整理しています。
| 見積もりで見る項目 | 先に揃える条件 |
|---|---|
| 対象範囲 | 全編か、指定場面のみか |
| 提出内容 | 線画、カラー、写真、動画のどこまでか |
| 台本の状態 | 確定台本から作るか、構成提案も含むか |
| 商品の再現 | 実物写真やラベル原本の反映範囲 |
| 修正 | 含まれる回数・範囲・数え方 |
| 変更時 | 台本や出演者変更の追加見積もり |
| 提出期限 | 社内確認と再提出に使える日程 |
| 納品 | PDF等の閲覧用と編集可能データの有無 |
撮影前の修正にも、作業範囲がある
企画や絵コンテの段階でも、台本を組み直す、別の構図を描く、動画コンテを再編集する作業は発生します。「まだ撮っていないので、何回でも無料」と想定せず、見積もりの修正条件を確認してください。撮影後に直すと準備や撮り直しへ影響する変更を、早い段階で見つけることには意味がありますが、撮影前の作業が無制限に含まれるという意味にはなりません。
たとえば、商品の持ち方だけを直す依頼と、商品を使う場面を全て別の場所へ変更する依頼では、確認する範囲が異なります。変更したい内容をカット番号で伝え、追加作業、追加費用、提出日の変化を返してもらいます。返答前に新しい案を確定したつもりで社内展開しないことも大切です。初稿後の伝え方は動画制作の修正依頼で扱います。
AIで作ったコンテは、参考画像と撮影条件を分ける
生成画像のうち、何を参考にするかを書く
画像生成ツールで場面のイメージを起こし、制作会社への説明に使う発注者が増えています。文章や参考画像から絵を作れるため、言葉にしにくい人物の距離感や構図を共有する資料には向きます。利用料金や処理速度、使える機能の範囲はツールと契約プランによって変わるので、社内で認められたツールの取り扱い条件と合わせて確認してください。生成AIと著作権の関係は、文化庁がAIと著作権についてで考え方(令和6年3月15日)とチェックリスト&ガイダンス(令和6年7月31日)を公開しています(2026年9月17日確認)。
生成画像を制作会社へ渡すときは、「人物の距離感だけを参考にする」「商品は支給写真に差し替える」と書き添えます。現実の撮影場所や機材の条件に合うかは、撮影担当へ確認してください。画像に映る背景、小道具、光の状態を、そのまま用意できると想定しないようにするためです。未公開の商品情報を入力するかは、社内で認められたツールと取り扱い条件に従って決めます。
動く参考映像でも、確定した演出とは限らない
静止画のコンテにカメラの動きを付けて再生できる資料も出てきました。動きが見える資料でも、どの部分が雰囲気の参考で、どの部分を実際に再現するのかを分けて制作会社へ伝えます。当社では参考映像を演出の確定版として扱わず、撮影当日に再現できるかを撮影担当と確認してから台本へ反映しています。生成されたカメラの動きが気に入った場合も、その動きを撮るために必要な機材や時間を確認してから採用を決めましょう。
発注者が見たいのは、絵が完成映像にどれだけ似ているかだけではありません。商品、出演者、予算、撮影場所の条件で何を作ると合意したかです。参考映像には「雰囲気の参考」、確定資料には「撮影へ渡す版」と区別を書き、両者を同じ承認欄へ置かない方法を提案します。生成AIを制作に使う範囲の検討はAI動画広告の信頼性も参照してください。
よくある質問
Q. 絵が描けなくても動画を依頼できますか?
目的、伝えたい内容、掲載先、判断したい場面を文章で渡せます。絵コンテの作成から制作会社へ依頼する場合は、見積もりに含まれる範囲を確認してください。
Q. 短い動画にも全カットの絵コンテが必要ですか?
秒数だけでは決められません。商品や人物の配置を全編で揃えて確認したいのか、重要場面だけ確認すれば撮影条件を決められるのかを制作会社と検討します。
Q. 絵コンテを承認したら、もう変更できませんか?
変更したい箇所を伝え、準備や撮影への影響、追加費用、日程を確認します。合意前に進めた作業へ影響する場合があるため、承認した版と変更箇所を明確にしてください。
Q. AIで作った参考画像どおりに撮影できますか?
画像だけでは実現可否を判断できません。再現したい箇所を指定し、場所、機材、出演者、商品などの条件で撮れるかを撮影担当へ確認します。
コンテで判断したい場面を添えて相談する
ナイトてんしょん(当社)は、ショートドラマの企画・制作を行っています。自社SNSの年間再生回数1億5,000万回越えの制作活動を背景に、企業の発信を支援しています。
相談には、掲載先と台本の有無、絵で確認したい場面を添えてください。商品をどう見せるか、社内の誰がどこを承認するかが未定でも、その未決事項から相談を始められます。コンテの作成範囲や提出形式は、個別の条件を確認して決めます。